日本の童謡から 赤い靴はいてた…


データ

脚本は阿井文瓶。
監督は筧正典。

ストーリー

レーダーで各地区に異常がないか確認する北島と光太郎。
勤務時間を終え、スケート靴を持って部屋を出ようとする北島。
この日、北島と光太郎は一緒にスケートに行く約束をしていた。
申し訳なさそうに打ち明ける光太郎。
光太郎は急にさおりと健一と夕食に行くことになり、スケートに行けないという。
仕方なく一人で家路につく北島。
父親に抱きかかえられた小さな女の子の履いている赤い靴に目を留める北島。
するとその赤い靴が少女の足から滑り落ちた
北島が靴を拾い上げて見ると、「マリ」という文字が。
家に帰りベッドに横になった北島は幼い日のことを思い出す。
北島にはいつも仲良く遊んでいた真理という幼馴染がいた。
ある日真理はいつもの赤い靴を履いたまま、黒い服を着た男に連れ去られてしまう。
「真理ちゃん」。
呟く北島。
すると空に浮かぶ宇宙船から北島に対して怪しい光が浴びせられる。
「作戦の第一段階は全て終わった。行け。行ってお前の使命を果たせ」。
宇宙船の中のドルズ星人がそう叫ぶと、赤い光球が北島のマンションへと飛んでいく。
翌朝、玄関のブザーで目を覚ます北島。
ドアを開けると見知らぬ女性が。
誰かと間違えてるんじゃないかと北島。
しかし女性は一言「哲ちゃん」と言う。
昔の記憶がフラッシュバックする北島。
「真理ちゃんだ。本当に真理ちゃんだ」と北島。
何故今まで連絡してくれなかったのかと北島。
「ごめんなさい。遠い国に行ってたものだから」と真理。
「でもよかった。立派になっている哲ちゃんに会えて」と真理。
「立派でもないけどさ」。
「ううん。ZATの隊員だなんて、最高だわ」と真理。
「あのおっちょこちょいの哲ちゃんがよくZATに入れたって言いたいんだろ?」
「哲ちゃんは昔のまま。ちっとも変ってないわ。ううん。その優しいところがよ」。
翌日、同じ場所で会う約束をして仕事に向かう北島。
北島が立ち去るのを確認すると、コンパクト状の通信機を使いドルズ星人と連絡を取る真理。
「ドルズ、ドルズ。ただいま計画の第二段階を終了いたしました」。
「その調子だ。50時間後にお前は地球攻撃のために自動的に変身する。その前にZAT本部に入り込み、そこを破壊するのだ」。
「わかりました。ドルズ帝国のために、必ず使命は果たします」。
翌日、デートする二人。
「みんな変わってしまったわね」と真理。
「変わってやしないよ。昨日真理ちゃんだって言ったじゃないか。哲ちゃんは変わらないって」。
「あたしが変わってしまったかもしれないわ」。
「真理ちゃんだって昔と同じだよ。変わってやしないよ」。
むきになる北島。
それを聞いた真理の表情が曇る。
花のついた枝をかんざし代わりに真理の髪に差してやる北島。
「覚えてるかい。こうしてあげたこと」。
頷く真理。
「真理ちゃんは誰かに連れられてどっかに行っちまった。僕は泣きながら後を追いかけた。僕はあの日の僕と少しも変わっていないよ。真理ちゃんだって」。
「哲ちゃん」。
真理の肩を抱く北島。
しかしその時北島の腕時計についた電波探知機が異常な反応をした。
辺りを見回す北島。
冷たい目でそれを見る真理。
「ごめん、ごめん。つい職業意識を出しちゃって」。
「ZATの隊員て大変なのね」と真理。
それを聞いた北島は真理をZAT本部に招待する。
「ZAT本部ってなかなか見学できないんでしょ」と真理。
「私、ずっと日本にいなかったでしょ。疑われないかしら」。
「疑う?真理ちゃんを?何言ってるんだよ」と一笑に付す北島。
しかし荒垣は、本部の見学は一週間前に申込み厳重なチェックを受けてからでないとダメだと断る。
「僕が絶対に保証します」と北島。
しかし「規則は規則だ」と荒垣は取りあわない。
「彼女に怪しいところがないのはすぐにわかりますよ」となおも食い下がる北島。
「怪しい、怪しくないの問題じゃない」と荒垣。
「もう応接室にいるんですよ」と北島。
「とにかく、連れてきます」。
部屋を出る北島。
そこへ光太郎が応接室で待つ真理をチェックしたデータを荒垣に見せる。
「これが北島の客のデータか」と荒垣。
渋い顔をする荒垣。
真理を指令室内へ連れて行こうとする北島。
そこに南原と光太郎が立ちふさがった。
「お嬢さん。申し訳ありません。ここから先は一般の方はお通ししてないんです」と光太郎。
「真理ちゃんのどこが怪しいんだよ」と北島。
「いや、怪しいというんじゃなくて」。
私帰りますという真理を引き留める北島。
「さおりさんだって中に入ったことがあるじゃないか」と北島。
「チェックを済ませた後です」。
「時間がないんだよ」と北島。
「どうしたんですか。北島さんらしくもない」と南原。
「ただ幼馴染を信じてるに過ぎないよ」という北島に
「それとこれとは違うんじゃないですか」と南原。
「これは僕が真理ちゃんを信じてるかいないかの問題だ」。
強引に連れて行こうとする北島。
そこへ荒垣が現われる。
真理をチェックしたデータを渡す荒垣。
「これが何です」と北島。
「それだけではわからん。しかし北島。いつものお前なら、そのデータだけで対象人物を警戒するはずだ」。
「こんなデータよりも何よりも、十数年前の幼馴染だという事実の方が確かでしょ」。
「データを信じてそれに基づいて行動するのがZAT隊員の心得だ」。
「人間よりも機械を信じろって言うんですか。わかりました。僕は今日限りZATを辞めます」と北島。
「先輩。ちょっと待ってください」と光太郎。
光太郎は荒垣に、北島と真理を指令室に通すようにお願いする。
「北島隊員は誇り高いZATの隊員です。そして我々の信頼できる仲間です。真理さんとは初対面でも北島隊員は命がけの戦いを一緒に戦ってきた仲間です。その仲間がこれだけ一生懸命頼んでるんです。信じなきゃ嘘です」。
「私からもお願いします」と森山。
南原も同様に荒垣にお願いする。
憤慨して立ち去る荒垣。
「真理さん、ごめんなさい。改めてZAT一同がご招待します。さあ、どうぞ」と光太郎。
しかし真理は涙を流して走り去ってしまう。
追いかける北島。
「真理ちゃん。ごめんよ。規則のこと話しとけばよかったんだけど」。
「哲ちゃん。私を撃って。撃って!」
「何言いだすんだよ」。
「早く私を殺して。もうすぐ私は怪獣になるわ。その前に撃ち殺して」。
「そんなバカな」。
「外国に行ってたんじゃないわ。私が連れて行かれたのは惑星ドルズだったのよ。私はドルズ星人の地球攻撃用武器なのよ」。
「嘘だ」。
「怪獣に変身してしまえば、自分で自分がどうにもならなくなるわ。お願い。人間でいるうちに殺して」。
「嘘だ。そんなことは嘘だ」と北島。
「嘘じゃないわ」。
そう言って服の袖を引きちぎる真理。
すると腕には鱗のようなものが。
その時真理のカバンが爆発した。
「撃って。早く撃って。哲ちゃん、あなたはZATの隊員よ。早く撃たなければいけないわ」。
顔にも鱗が現われる真理。
驚いて後ずさる北島。
真理に銃を向ける北島。
そこへ駆けつけてきた光太郎が北島の銃を狙撃する。
「何をするんです」と光太郎。
「彼女は怪獣なんだ。今のうちに殺してやってくれ」と北島。
北島の前で真理を撃つことに躊躇う光太郎。
すると真理の体が爆発し怪獣メモールへと変身した。
街を破壊するメモール。
ホエールで出撃する隊員たち。
「北島。あれはお前の幼馴染の真理ちゃんじゃない」と荒垣。
自らメモールを爆撃する北島。
東、南原もコンドルで攻撃する。
「わかった。奴は殺さない。殺さない代わりに目に集中攻撃だ」と荒垣。
目を狙うためにメモールに接近するホエールとコンドル。
しかしメモールの吐く炎を浴び両機は脱出する。
「奴はZAT本部を狙ってるぞ」と荒垣。
そこへ森山がやって来た。
森山が乗ってきたウルフに乗り込む北島。
「突っ込む気だ」と光太郎。
光太郎はバイクに乗って北島を追う。
「地球はな、真理ちゃんの故郷なんだ。お前なんかのいいようにはさせないぞ」。
メモールに特攻する北島。
しかしメモールの吐く炎でウルフは大破。
北島は車外に投げ飛ばされる。
さらに北島を踏みつぶそうとするメモール。
光太郎はタロウに変身した。
飛び蹴りを浴びせ北島を救うタロウ。
メモールの手から出る毒ガスに苦しむタロウ。
煙に紛れて姿をくらますメモール。
背後から襲いかかるメモールを抑え込んだタロウだったが、メモールの尻尾が首に巻きつき投げ飛ばされてしまう。
立ち上がったタロウはアロー光線でメモールの口を爆破。
火炎を吐けないようにする。
形勢逆転するもメモールの尻尾に苦戦するタロウ。
しかし最後はメモールも観念する。
ストリウム光線の態勢に入るタロウ。
しかし命乞いするメモールを見て、メモールを宇宙へ放り投げてやる。
メモールを見送る北島の傍らの川に赤い靴が落ちてくる。
それを見た北島は怒りを込めてその靴を銃で撃ち続けた。
沈んでいく赤い靴。
その姿を見守るしかない隊員たち。
メモールはそのまま宇宙をさまよい続ける。
惑星ドルズに帰ったのか、少女の姿に戻るのか、それは誰も知らない。
「あの時僕が約束を守っていれば、先輩は悲しい思いをせずに済んだのじゃないかと」と光太郎。
「人間誰しも大事にとっといた思いに、別れを告げなきゃならないことがあるんだ」。
「そんな風にして男は成長していくんだから、お前だって今に同じ思いをするさ」と北島。
「僕はなるべく先に延ばしたいですね」と光太郎。
一緒にパトロールに行く二人。

解説(建前)

なぜドルズ星人は子供の真理を誘拐して20年近く経ってから、北島の幼馴染として地球に送り込んだのか。
まず疑問となるのは、ドルズ星人は真理の幼馴染の北島が将来ZAT隊員になることを知っていたのか否かであるが、これはありえない。
したがって、真理を将来ZAT攻撃用に誘拐したという可能性はないであろう。
それでは無差別に将来怪獣として地球を攻撃させるために小さい女の子を誘拐していたのであろうか?
しかしその可能性も低いであろう。
実際に怪獣に改造したのは真理一人であるし、あまり大量に誘拐すると大きな事件となって世間でも注目されてしまう。
そんな大きな事件なら、真理と再会した北島はまず警察に届けるであろう。
もちろんそんな事件なら荒垣も知っているはずである。

となると、ドルズ星人は偶々北島の幼馴染の真理一人だけを誘拐して、20年近く経って真理が北島の幼馴染だと知ってZAT基地を攻撃するために怪獣として送り込んだということになろうか。
しかし、そんな偶然というものがあるであろうか。
これはやはり必然と考えないと話の辻褄が合わない。
そこで思い出されるのは、自宅にいた北島に注がれていた光。
それと「作戦の第一段階は全て終わった」という星人のセリフ。
北島の幼馴染を誘拐して北島がZAT隊員になるまでを作戦の第一段階と考えることも可能であるが、さすがにそれでは気が長すぎる。
やはりこれは、ドルズ星人がZAT隊員の一人に目をつけ、偽の記憶を植え付けたと考える方が筋は通るであろう。

結論としては、北島に真理という幼馴染はいなかった。
それは星人によって植え付けられた偽の記憶であったということになろうか。
誰しも子供の頃の記憶というものは曖昧である。
大人になって色々な記憶が混同して事実と違うことを覚えてしまっているということは誰にでもあるであろう。
北島にも祭りとか地域のイベントとかで1日だけ一緒に遊んだ女の子がいて、その子の記憶が真理に重なった。
あるいは、真理自身の子供の頃の思い出が植え付けられたとも考えられるが、いずれにせよその思い出は北島だけのものだったのであろう。
普通なら近所に住む真理が誘拐されたらそれを北島が地域の大人に言うはずであるが、実際は1日だけ遊んだ女の子が父親に連れられて帰って行っただけだった。
赤い靴に関しては、ドルズ星人の偽の記憶ではなく、北島の他の思い出の1つと考えることも可能であろう。

では、真理は一体何者であろうか?
まず考えられるのは、地球人でも何でもなく、ただのドルズ星生まれの侵略兵器として作られた怪獣。
前述のように、北島の記憶が偽である以上、同じ記憶をメモールに植え付けたと解釈すれば、筋は通る。
ただ、それにしては、人間としての感情を持ちすぎであるし、ZATのチェックに引っかかったとしても明確に人間ではないと判断されたわけではない。
やはり「怪獣になる前に撃って」というからには、元は人間と考えた方が素直であろう。
とすると、やはりこれも前述したように、北島とは無関係の真理という少女がいて、その少女が20年近く前に誘拐された。
そしてドルズ星でいつか地球を攻撃するために育てられ、洗脳されていたのであろう。
その際に実際の真理の記憶を元に北島に植え付ける偽の記憶も作られたと考えると辻褄は合う。

ただ、いずれにしてもドルズ星人の作戦はかなり迂遠である。
ZAT基地を破壊するのが狙いだとしても、そこまで手の込んだことをする必要があるのであろうか。
まず真理がメモールに変身する時限を設けた点については、これはやはり真理が偽物であることから、あまり長い時間いるとそれがバレるというのがあるであろう。
また、怪獣に変身する際の起爆に関して遠隔操作できないため、そのような面倒な設定にしたというのもあるのではないか。
真理はもう一歩でZAT基地に潜入することができた。
そこで怪獣化すればZAT基地は一撃で破壊できる。
そういう意味では作戦は実はほぼ成功していたのである。
仮に応接室であっても、そこで巨大化すれば基地はほぼ破壊できる。
真理がそれをわかってて基地を飛び出したのは、やはり元は人間であるため人間の優しさに触れて改心したためであろう。
元は人間だからこそ作戦は成功しかかり、逆に元は人間だからこそあと一歩で失敗した。
そういったところであろうか。

感想(本音)

解釈の難しい話。
やはり先に童謡ありきだと、いささかこじつけ気味になるのは仕方ないであろう。
解釈では真理と北島は本当の幼馴染ではないとしたが、ドラマ的には二人は本当の幼馴染として展開する。
そういう意味ではこれほど救いのない話も珍しい。
ただ、かなり突飛な話なので、子供がこれを見て話についていけたかは微妙。
私の子供の頃の記憶も何だかよくわからないというものであった。
正直今見ても微妙であるし、話の出来としては今一つというのが正直なところ。

本話は北島と幼馴染真理のラブストーリーとして物語は展開する。
ただ、やはり怪獣になるという役柄のためか、真理はヒロインとしては正直合ってない。
中田喜子辺りならとは思うが、さすがにこんな役は受けてはくれないか。
演ずる夏川圭はどこかで見た顔だと思ったら、ユニタングの中の人。
そちらでも超獣に変身する役であったし、やはりそういう役をやってくれる女優さんというのは希少なのだろう。

本話はいつもと違う北島隊員が見れるというのも楽しみの一つ。
ベージュのトレンチコート姿もなかなか決まっていた。
実は隊員の恋愛話は2期ウルトラではお馴染みで、帰マンでは岸田、上野、エースでは山中、今野、タロウでも本話の北島、南原、レオでは白土など結構多い。
本話は宇宙人との恋愛を描いた岸田のタイプに近いであろうか。
あれも悲恋ではあったが、メモールはタロウに殺されなかっただけマシ?
それともジョジョのカーズ様のように永遠に宇宙を彷徨うとしたらもっと酷いかもしれない(笑)。

今回は意外なZATのセキュリティの厳しさが明らかになる。
まあ、子供に侵入を許したTACは論外としても(笑)、聾唖の少年に化けた宇宙人に侵入を許したMATやホシノ少年が普通に出入りしている科特隊と比べるとその辺りはキッチリしているようだ。
さおりさんですら1週間前から申請しないといけないというのは堅すぎる気もするが、宇宙人はいついかなる手で侵入してくるかわからないので、安全面からも公平性からも妥当な対応であろう。
実際さおりさんはテンペラ―星人に乗り移られたこともあるし。
ただ、本話の脚本を書いたのは阿井氏だけに探せば矛盾するシーンもあるかもしれない。
それはまた暇なときにチェックすることにしよう(笑)。

本話で一番違和感を覚えたのは、やたらと真理を擁護する北島。
挙句にはZATを辞めるとまで言ってしまう。
ここまで冷静さを欠く北島は珍しい。
それだけ北島にとって真理は思い出の人であったのであろうが、私の解釈からはそれは偽の記憶ということになるので、星人に洗脳されていたからということにでもなろうか。
ただ、星人も北島の感情までは支配できないと思われるので、やはり北島の真理すなわち過去の大事な思い出に対する気持ちというのは本物であったと解釈するのが正しいであろう。

「人間誰しも大事にとっといた思いに、別れを告げなきゃならないことがあるんだ」と北島。
北島にとって真理は子供の頃の思い出の象徴であった。
そしてそれは、科学的なデータよりも大事なものだったのである。
故郷なのか、初恋なのか、友達なのか。
それともそれらが混在したものなのかはわからない。
しかし、人はいつかはそれらと別れる時が来る。
そうやって人は成長していくものなのだ。
翻って、このようなレビューを書き続ける私。
いつかは私もそれらと別れる時が来るのであろうか(多分ない・笑)。

本話の脚本は前述したように阿井文瓶。
まず童謡ありきだったことから氏の主導で作られた話ではないと思われるが、氏はこの話を書いたのが縁となったのか、後に「赤い靴」の女の子の銅像に関する記念番組の脚本を依頼されている。
それをきっかけに色々調べた結果、赤い靴の女の子のモデルについて疑義を呈した「捏造 はいてなかった赤い靴」という著書を発表した。
阿井氏は今では推理小説、海洋冒険小説執筆を本業としているようであるが、こんなところで本話と縁がある論考を発表していたというのは何とも興味深い。
氏にとって児童文学、童謡といったものは、やはり特別な思い入れがあるのであろう。

本話のテーマは難しいが、過去との決別、子供時代との別れということにでもなろうか。
ただ、そのテーマがどれだけ描けたかは正直微妙。
見ていても、最後の北島のセリフが出るまでは、そういうテーマ性をほとんど感じることはなかった。
せめてもう少し真理と北島の再会に必然性があればまだしも、展開が唐突過ぎてその違和感ばかり気になる。

本話の一般的な評価は、初恋の人が子供の頃に誘拐され怪獣にされて、挙句の果てには永遠に宇宙を彷徨い続ける救いのない話といったところであろう。
その時点で、やはりテーマ的には描けていないと言わざるを得まい。
それなりに楽しめるところはあるものの、まだまだ阿井氏の書く脚本はぎこちなさが目立つ。
タロウ終盤は阿井氏のいい練習の場にはなったが、クオリティ的にはまだまだといったところ。
阿井氏が本領を発揮するのは、次回作「ウルトラマンレオ」を待たねばならない。

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