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ウルトラマンタロウとは
ウルトラマンAに続く、第2期ウルトラシリーズ第3弾。
円谷プロ創立10周年記念番組として製作された。
本作の特徴は前作で登場した超獣を超える怪獣の登場、ウルトラの母を加えたウルトラファミリーの客演、民話やおとぎ話をベースにした作劇、白鳥家との交流を中心にした青春ドラマの要素など多岐に渡るが、何といっても原点回帰を目指した分かりやすさ、明るさにそれは尽きるであろう。
ただその屈託のない作品カラーは特に1期リアル世代を中心にバッシングを浴びることになる。
曰く、「子ども向け過ぎる」「ドラマと特撮パートの分離」「兄弟がよってたかって怪獣を倒しており、いじめの相を呈している」「ZATが不真面目過ぎる」等々。
ここでこれらの批判に対して一々反論するつもりはないが、全体的にこれらの批判は作品をよく見ずになされた嫌いがある。
それらについてはまた、各作品のレビューで答えていくことにしよう。
本作は原点回帰と書いたように、「ウルトラマン」を多分に意識しているところがある。
もちろんテイストは第2期のものではあるが、前作、前々作が防衛隊内部での軋轢を描いていたのに対して、タロウにおいてはZATはそういう組織として描かれなかった。
むしろそのアットホームな雰囲気は科学特捜隊のそれに近いといえる。
またタロウ前半は怪獣との戦いがメインで描かれており、ZATが怪獣に対して様々な作戦で立ち向かう点もウルトラマンに近い。
結果としてその狙いがどこまで成功したかはさておき、シリアスになり過ぎた2期の路線に対する見直しの意味もあったのであろう。
個人的な話で恐縮だが、以前も書いたようにウルトラマンタロウについては関西地区での再放送が比較的少なかったため、全話見れたのは小学校高学年になってからであった。
そしてその頃には第3期ブームも沈静化しつつあり、またアニメ、ゲームといった別のメディアが優勢になっていたこともあって、私自身も特撮から暫く離れることになる。
もちろん完全にウルトラに対する興味を失ったわけではなくBSの再放送など羨ましく思ったものだが、大人になるにつれ、一般のドラマや映画、三島由紀夫やドストエフスキーの小説などそれに代わるものに興味は移っていった。
ウルトラの番組も減り、私自身も大人になって行く過程で、それは避けては通れないことであっただろう。
ただ、今思うと結果としてこの時期に他の映像作品や文学作品に触れたことは、後にウルトラを客観的に見る上で大いに役立ったと思う。
特に2期の映像面のクオリティなどは他の映像作品に触れないと理解はなかなか難しい。
私自身、タロウについては、私が再びウルトラに興味を持つきっかけともなった「怪獣学入門」での記述や、ネットの評判などもあって、「子ども向け」「内容が薄い」などの偏見を持つに至っていた。
ただドラマとして、映像作品としてタロウを見ると、それが如何に一面的な見方であるかがよくわかる。
映像作品は脚本の良し悪しだけでなく、演出、映像、音楽、役者など様々な要素から成り立っており、それが全体として作品を作っている。
確かにタロウはSF的な面白さには欠けるところが多いだろう。
しかし、その高いエンターテインメント性やテーマ性など決して他の作品に劣るものではない。
要は作品の好みの問題なのであって、作品の優劣の問題ではないのである。
もちろん各エピソードの中には粗の多いものも散見され、決して全体のクオリティが高いとまではいえない。
ただ駄作という評価が不当であるのは作品を少し見ればわかることである。
私自身、タロウの世界を楽しみながら、その魅力を皆様にも伝えるべく、レビューしていきたいと思う。
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