ウルトラ兄弟を超えてゆけ!


データ

脚本は田口成光。
監督は山際永三。

ストーリー

今遥か宇宙の彼方海王星では、大変なことが起ころうとしていた。
大宇宙の凶悪暴君と言われるタイラントの登場だ。
タイラントは過去にウルトラ兄弟に敗れた怪獣たちの一部が合体してできた怪獣であった。
タイラントが地球へ向けて飛び立とうとしたその時、ウルトラ兄弟の長男ゾフィがタイラントを発見する。
タイラントと格闘するゾフィ。
しかしゾフィはタイラントの圧倒的パワーの前に敗北してしまう。
ウルトラサインを送ろうとした手も無残に折られてしまった。
タイラントはそのまま海王星を飛び立つ。
その頃地球では正月休みの光太郎がさおりや健一とお雑煮を食べていた。
食後に健一と外で凧揚げをする光太郎。
光太郎は土手で自転車に乗る練習をしているタケシという少年に出会う。
「俺も自転車に乗れるようになるまでは苦労したよ」と光太郎。
するとタケシは「お兄さんも一人っ子かい?」と光太郎に尋ねる。
「一人っ子は自分の力で何もできないと言われてたんでしょ」とタケシ。
どうしても自分の力で自転車に乗れるようになり、皆をあっと言わせるとタケシ。
しかしタケシはまた自転車で倒れてしまう。
「のろまのタケシ、のろまのタケシ」。
級友たちに馬鹿にされるタケシ。
一方、天王星では初代マンがタイラントと格闘していた。
しかし初代マンもタイラントのパワーの前に敗れてしまう。
ウルトラサインを出す初代マン。
しかしタイラントはそのウルトラサインまでも消してしまった。
その頃タケシはまたも自転車で倒れ、膝を擦りむいていた。
光太郎が手を貸そうとするも拒絶するタケシ。
一方、土星ではセブンがタイラントと戦っていた。
タイラントに敗れたセブンはウルトラサインを送る。
その頃ZATも地球に急接近する物体をキャッチしていた。
「このスピードで地球まで来るとしたらあと20分だ」と荒垣。
警戒態勢に入るZAT。
光太郎を呼び出す北島。
しかし外で自転車の練習に夢中になっている光太郎と連絡が取れない。
さらに、ウルトラサインまで見落としてしまう光太郎。
転倒して傷だらけのタケシ。
いくらやってもできないからと諦めて帰ろうとするタケシ。
光太郎はタケシを励ますために、タケシを膝に乗せて自転車を運転してみせる。
喜ぶタケシ。
一方木星では新マンがタイラントと格闘していた。
怒れウルトラマン、タイラントを倒すのだ。
スペシウム光線を放つ新マン。
しかしお腹の口から光線を吸収されてしまう。
タイラントに敗れた新マンはウルトラサインを出すが、それもタイラントに消されてしまった。
その頃、木星のステーションから物凄い怪獣がウルトラマンを倒して火星に向かっているとZATに連絡が入る。
「何、ウルトラマンを倒して…」。
愕然とする荒垣。
光太郎を呼び出すため、ZATはさおりに電話を入れる。
その頃光太郎は自転車で転倒して川に落ちたタケシのために焚火をしていた。
「自転車はね、コツさえ掴めば優しいんだよ。最初だけだよ。最初に勇気を出して、ペダルをグッと踏むんだよ。そうすればスーッと動くんだ」と光太郎。
しかしタケシは、また通りがかった級友から馬鹿にされてしまう。
一方、火星ではエースがタイラントと戦っていた。
超獣と次々と戦った強いエースははたしてタイラントに勝てるのか。
タイラントの吐き出す炎に苦戦するエース。
結局エースも敗れてしまう。
タロウにウルトラサインを送るエース。
何回やっても自転車に乗れないタケシ。
とうとうタケシは切れてしまう。
「こんな自転車なんか乗れなくてもいいよ。やっぱり僕には無理なんだよ」。
自転車を蹴り飛ばすタケシ。
そこへさおりが光太郎を呼びにきた。
漸くウルトラサインに気が付く光太郎。
「タケシくん。僕は行かなければならないんだ。君に自転車を教えている間に、怪獣が地球に近づいてきたんだ。物凄く手ごわい怪獣らしい。今度は僕が勇気を出す番だ」。
「君がこの自転車に乗れるようになるのも君の、君の勇気なんだぞ」と光太郎。
「勇気?お兄ちゃんはZATの人だったんだね。これから怪獣と戦うの?」とタケシ。
「僕が戻ってくるまで必ず自転車に乗れるようになってくれよ」と光太郎。
頷くタケシ。
街に降り立ったタイラントは辺り一面を破壊する。
「タイラント、俺は負けないぞ」。
変身する光太郎。
タイラントと格闘するタロウ。
タケシは健一の手伝いで自転車の練習を続けていた。
健一が手を放すと自分の力で進み始めるタケシ。
「やった、やった。乗れたじゃないか」と健一。
タロウはタイラントの放ったチェーンを掴んで引っ張り、それを両角からの光線で焼き切った。
バランスを崩して倒れるタイラント。
さらに焼き切ったチェーンを矢のように変形させタイラントに投げつけるタロウ。
矢が突き刺さったタイラントは大破。
自転車に乗れて大喜びするタケシを見届けるタロウ。
そしてその姿をウルトラの星から見届けるウルトラの母。
飛び立つタロウ。
光太郎に成果を見せるタケシ。
一緒にいたタケシの級友も感心する。
「誰でも勇気を出して頑張れば、できるのさ」と光太郎。
タケシを呼びに来るタケシの母。
「兄ちゃん、ありがとう」とタケシ。
「頑張れよ」。
手を振る光太郎。

解説(建前)

タイラントは何物か。
タイラントはシーゴラス、バラバ、ベムスター、イカルス星人、レッドキング、ハンザギラン、キングクラブ等の怪獣、超獣、宇宙人の体の一部が合体してできた怪獣だ。
基本的にウルトラ兄弟に倒された怪獣たちのパーツからできているため、ウルトラ兄弟や地球そのものに恨みがあると考えられるが、唯一引っかかるのがシーゴラスである。
シーゴラスは新マンには倒されずに角を折られただけで故郷に帰ったはず。
そのシーゴラスの頭部がタイラントの一部になるとは考えづらい。
これはやはりシーゴラスそのものではなく、後に出てきた再生シーゴラスの体の一部と考えるのが素直であろう。
タイラントはジャンボキングのように、これら怪獣の怨念が集まってできた怪獣と考えるのが妥当である。

しかし、ジャンボキングはヤプールの手により合成された超獣であった。
また、純粋な怨念だけではなく、その残存する超獣の分子も合体に寄与していた。
とすると、タイラントもヤプール若しくは何者かの宇宙人がその怨念や分子を集めて合成した怪獣と考えるのが素直であろう。
ただ、ジャンボキングはヤプール配下の超獣の寄せ集めで、まだ合成しやすい側面はあった。
一方タイラントは、時期も性質も違う怪獣、超獣、宇宙人の合体である。
しかも遠い宇宙で誕生しており、何者かが作ったにしても無駄が多い。
やはりタイラントは何らかの原因で自然発生的に誕生した怪獣と考えるのが妥当であろう。

ではその何らかの原因であるが、これは正直色々考えられる。
まずその辺の宇宙生物や宇宙怪獣にこれらの怨念が乗り移ったという説。
怪獣たちの怨念はおそらく怪獣墓場から発したものであろう。
怪獣墓場には成仏できない怪獣もいる。
そういう怪獣たちの怨念が宇宙生物を変異させたのだ。
また、そもそもそういう宇宙生物すら必要なく、宇宙に漂うマイナスエネルギーに怨念が乗り移ったとも解釈できる。
海王星から地球を目指したのも、恨みのあるウルトラ兄弟が各惑星にいたというのが大きいであろう。
目的はやはりウルトラ兄弟及び地球への復讐であろうから。

では、あれほどの強さを誇ったタイラントがタロウにあっさりと敗れたのはなぜか。
これも複合的な原因が考えられるが、まずタイラント、正確にはタイラントのパーツがタロウと初対戦だったというのもあるだろう。
他の兄弟とは過去に対戦があり、ある程度戦い方がわかっていた。
しかしタロウの俊敏な動きは火炎攻撃も通じず、腕を封じても角から光線を出すなどタイラントの予想もしない攻撃法をタロウが身に付けていた。
また、そもそもタロウに対する恨みがなく、あまり凶暴さを発揮できなかったのもあったであろう。
地球におけるタイラントはタロウよりもむしろ街の破壊の方を優先していた。
タロウに対しては邪魔をするから排除するという感じで、それほどファイトを見せてなかったように思う。

また、そもそも論として、宇宙で戦うウルトラ兄弟は地球で戦うウルトラ兄弟より弱いのではないかという説がある。
ウルトラマンは地球上では3分しか戦えないのに宇宙ではずっと変身していられることから、宇宙での方が力を発揮できるようにも見える。
しかし、はたしてそうだろうか?
ウルトラマンのエネルギーはウルトラの星ではプラズマスパーク、地球では太陽であることに異論はない。
そして、大気のある地球より宇宙にいる方が太陽エネルギーを吸収しやすいのも事実であろう。
ただ、それはあくまで地球と同程度の距離の場合の話であり、太陽から遠く離れてしまうとそもそも太陽エネルギー自体が届かない。
すなわち、それではエネルギー切れを起こしてしまい、長時間の宇宙空間の移動そのものが不可能になると考えられるのだ。

では、なぜウルトラ兄弟は長時間宇宙を移動できるのか。
これはやはりエネルギーの蓄えと省エネ機構の二つがあってこそであろう。
すなわち、宇宙空間を移動する場合と怪獣と戦う場合ではそのエネルギーの使い方そのものが違っている。
わかりやすく言うと、飛行モードと戦闘モードとでもなろうか。
宇宙で戦う時のウルトラ兄弟のモードは基本は飛行モードである。
したがって、やはり地球上での戦闘モード時よりは力が落ちると考えるのが素直であろう。

一方、エネルギーに関しては、太陽光線を無限に浴びられる宇宙空間の方が地球より遥かに多くの量を蓄積することができると考えられる。
また、ウルトラの星から地球へ向かう場合などは、プラズマスパークで一種フル充電の状態で旅立つことも可能であろう。
地球上ではそもそも巨大化できないというのもあるが、仮に巨大化しても地表に届くエネルギーの量が乏しいので、あまり充電効率はよくない。
それなら人間サイズで生活をしながらエネルギーを蓄える方が都合がいいのであろう。
ただ、それでは3分程度しか戦えないという痛しかゆしの面もあるが。
以上より結論としては、地球で万全に備えていたタロウが宇宙をパトロールしていた兄弟より強いのは至極当然ともいえるのである。

感想(本音)

子供の頃見た感想は大方の人と同じで、やはりタロウにあっさり負けるタイラントにちょっとガッカリもした。
そしていつものように噛ませ犬的に負ける兄弟の姿も見ていて気持ちのいいものではなかった。
しかし、何度も見てる内にこれはこれで正解なんだと思えるようになる。
というのは、本話は別にタロウが苦戦したり敗れたりすることにテーマがあるわけじゃなく、それこそ勇気と成長、そこに主眼のあるエピソードであるとわかったからである。
そして、さらに大人になると、本話は基本的には総集編であり、イベントそのものであると理解できるようになった(笑)。

と言っても、内容はそれなりにしっかりしている。
ウルトラ兄弟の戦闘、ZAT基地、光太郎とタケシの自転車の練習。
これだけの要素しかないのに、話をしっかり展開させる構成はなかなか巧みだと思った。
意外とこの話は何度見ても飽きない。
それもこの構成の巧みさにあるのではなかろうか。
この辺りは監督の山際氏の手腕あってのものであろう。
ただ、テーマがしっかり描けていたかというと、そこは弱い。
この辺りは総集編の限界であろう。

本話は出だしから引き付けられる。
まず合体怪獣タイラントの登場。
タイラントはよく見ると変なデザインなのだが、妙にワクワクする感じはやはり歴代の強豪怪獣の合体というのもあるだろう。
とりわけベムスターのお腹の口はやはりインパクトがある。
そして、最初にタイラントと戦うのは我らが長男ゾフィ。
しかし、初っ端からピンチのテーマが流れて案の定いいとこなく敗れてしまった。
まあ、この頃になればゾフィが弱いのはお約束なので慣れているが(笑)、それにしてもこの扱いは不憫すぎる。
ただ、噛ませ犬としては相変わらず文句なしの働きなので、冒頭からストーリーをしっかり盛り上げてくれたのは間違いないであろう。

この殺伐としたシーンから白鳥家の正月につなぐ展開はベタながら上手い。
しかし光太郎だけ正月休みを貰ってるが、ZATの正月休みは持ち回り制なのか。
あまり基地を空けるわけにいかないから全員が休むわけにはいかないが、基本的に怪獣なんてそうそう現れるものではないので、もう少し余裕があってもいいと思う。
まあ、そもそも隊員の人数が少ないので、ある意味ブラックな職場ではあるだろう。

白鳥家の正月は光太郎が羽織袴、さおりが晴着を着るなどなかなか古風。
正月の凧揚げ風景も懐かしい。
ここで光太郎は本話の主人公タケシと出会う。
タケシは何故か大人用の自転車を使って練習している。
自分用の自転車を買ってもらえず仕方なく父親の自転車でも借りているのだろうか。
普通なら父親に練習を付き合ってもらうと思うが、父親はいないのか、仕事が忙しいのか。
母親は如何にも専業主婦という感じなので、やはり仕事が忙しいか子供に無関心かのどちらかであろう。
一人っ子で父親が放任若しくは過保護では、タケシが級友に馬鹿にされるのも仕方がない。

この後は自転車の練習と初代マン、セブンの戦闘シーンが交互に描かれる。
ビデオが普及していない時代、こういう回想シーンは嬉しいもの。
ただ、肝心の戦闘シーンの方は何となくデザインが違うウルトラマンや耳なしセブンなど正直しょぼい。
しかしウルトラマンのやられ方はほとんどコント。
もう少し頑張れよと思うが、この辺りは解釈した通りエネルギー不足のせいと脳内補完しておこう。
一方セブンはタイラントの冷凍光線を浴びて爆破(?)されたので仕方ない。
初代マンと違いウルトラサインをしっかり出せた点、初代マンよりやや優遇されている感じだ。

一方自転車の練習の方もなかなか山あり谷あり。
怪我をしたり、挫けたり、笑顔になったり、泣いたり、最後は逆切れ。
しかし、タケシ役の子役の表情豊かな演技はなかなか素晴らしい。
この辺りは児童ものの職人、山際監督ならではだろう。
また、何度も転倒し、挙句には川の水にも突っ込んでしまうタケシ。
まさに体当たりといったところである。
ところでタケシ役の樋浦少年は他のドラマにはあまり出ていないようなので、エキストラに近いのかもしれない。
もしくはこの役で嫌になって子役を辞めたのであろうか。

ウルトラ兄弟とタイラントの戦いは残るは2戦。
新マンがスペシウム光線をベムスターの口に吸収されるシーンがお約束で良い。
また、新マンは初代マン同様ウルトラサインを消されてしまった。
タイラントのこの能力はよくわからんが、「ピョン」という効果音とともにサインをかき消すタイラントが妙にかわいくてツボ(笑)。
続くエースも少しだけ期待を持たせて呆気なく敗北する。
ナレーションで最初は北斗と南が合体変身してたことに触れてくれた点はよかったが。
また、それぞれの戦いでBGMを使い分けてたのは芸が細かかった。

一方、ウルトラマン敗北に愕然とする荒垣など、ZATの危機感も適宜挿入して緊迫感を盛り上げる。
ZATから連絡を受けて光太郎を呼びに行くさおりは、まるで光太郎の奥さんのよう。
この一連のシーンはちょっと時代劇ぽかった。
しかし、連絡用のレシーバーくらいは着けて外へ出ろよ光太郎。
誰もが外でスマホを弄ってる今の若者には理解できないだろうな。
ウルトラサインの見逃しに漸く気づく光太郎。
ただ、仮にサインを見てたとしても結局のところあまり変わらなかったように思う。
それこそ、宇宙にいる兄弟たちもう少し頑張れよといった感じ。

いよいよ地球へ来たタイラント。
しかし、この戦いは意外とあっさりタロウが勝利した。
まあ、散々タイラントの強さを描いたから今更苦戦してもしょうがないという気もするが、この辺りも旧作ファンからは評判が悪いらしい。
そりゃ、兄たちが完全に噛ませだからなあ。
と言って、兄たちがやたら強いのもまずいし、本話はタイラントだけでなくタロウ自身もウルトラ兄弟を超えるというテーマがあるので、この展開は仕方ないであろう。
ただ、本話はテーマに関してはあまり描けてないのは前述したとおりだが。

本話は何度も繰り返すが、基本的には総集編であり、10周年のイベントの意味合いが強い。
したがって、ドラマ性の乏しさや戦いとの不整合は突っ込む方が野暮だろう。
むしろ総集編を上手くストーリーにまとめあげたスタッフの手腕こそ誉められるべきだと思う。
ただ、これも繰り返すが、ドラマ自体はやや無理があった。
まず、タケシの一人っ子設定だが、これは明らかにウルトラ兄弟の末っ子のタロウとは違っている。
その辺を考慮してか、光太郎はタケシの「お兄ちゃんも一人っ子なの」という質問に対して歯切れが悪かった。
恐らく光太郎自身は一人っ子なのだが、タロウと同化してる現状では兄弟がいることになるので、このような表現になってしまったのだろう。
もちろんウルトラ兄弟は本当の兄弟ではないので、タロウは一人っ子でも間違いではないのだが。

そして、タケシの勇気は自転車に乗るという、ある意味自分への挑戦だったのに対して、光太郎は兄弟を超えるという挑戦で、テーマ的に齟齬が出たのも問題だった。
しかもその辺りはあまり描かれておらず、単に強い怪獣と戦うという風にしか描かれなかった。
もちろん兄弟を超えるということは自分を超えるということでもあるのだが、それはややこじつけに過ぎる。
やはりタロウが自分の課題を解決しないと、テーマ的な説得力は出てこないだろう。
また、ラストに唐突に出てくるウルトラの母も問題。
一応、タケシの挑戦を見届けたタロウと、タロウの挑戦を見届けた母という対比であろうが、タロウの挑戦は最後に急に出てきたものだったので、それを見守るというのも何となくおかしかった。
この辺りが本話のテーマ的な弱点であろう。

とは言え、本話は通常回ではないので、本話の弱点をことさらに論って、タロウという作品全体にケチをつけるのは明らかに間違っている。
そもそも本話をタロウのテンプレ的な話だと思ってるタロウ視聴者など皆無であろう。
ウルトラマンで言うと「怪獣殿下」を取り上げてウルトラマン全体を語るようなもので、ファンからしたら言いがかりに近いのではなかろうか。
前述したように本話は構成がしっかりしており、今見ても十分楽しめる内容に仕上がっている。

ウルトラ兄弟の客演や過去の作品などいつでもビデオで見れる時代になった。
しかし、総集編としても1つのエピソードとしても楽しめる本作の魅力は今でも変わらないであろう。
最後はあっさりやられたとはいえタイラントは魅力的だし、少年の自転車の特訓と並行して進んでいくという世界観も個人的には嫌いではない。
タロウはよく子供向けだの子供騙しだの批判されることがある。
しかし、意外と今見ても古さを感じない。
それはやはり本話のような今でも通じる普遍的なテーマを取り上げてる作品が多いからであろう。
少子化の今こそ、こういう子供の日常を描いたタロウは見直して欲しいものだ。

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