地震源Xを倒せ


データ

脚本は若槻文三
監督は野長瀬三摩地

ストーリー

国際核研究センターの岩村博士を訪ねるダンとソガ。
しかし頑固者で名が通る博士の一喝を受け、追い返される。
困惑する2人に、博士の助手の榊という青年が声を掛けてきた。
「あの頑固親父の助手を」。
驚く2人。
報告を受け笑うキリヤマ。
博士の頑固ぶりは有名だという。
しかし博士は地球の核の研究では世界でも有数な学者だという。
青沢山岳地帯での群発地震に異常を感じたキリヤマは至急博士の意見を聞きたいという。
その頃山岳地帯ではラリーに参加中の2人の女性が道に迷っていた。
行き止まりで車から降りる2人。
2人は赤い鉱石を見つけ拾い上げる。
その時、何かの叫び声とともに大きな地震が起きた。
警備隊に入った報告によるとマグニチュード6.5の大きな地震だという。
嫌がるソガの代わりにダンと一緒に岩村博士のところへ向かうアンヌ。
部屋へ入るのを嫌がるダンに「弱虫」とアンヌ。
アンヌが部屋へ入ると大きな機材を持った榊とぶつかってしまう。
榊によると、博士は既に青沢山岳地帯へと出発したという。
博士も例の群発地震を調査していた。
基地に戻りキリヤマに報告する2人。
今度はフルハシも加えて3人で調査と博士の警護へ行くよう命じられる。
ホークで山岳地帯へ到着するダンたち。
大きな地震のあった現場で誰も乗っていない車を見つける3人。
付近を探すダンたち。
すると草むらの中に例の2人の女性が隠れているのを発見した。
2人はもの凄い唸り声を聞いて怖くて隠れていたという。
人家を探して付近を歩くダンたち。
古い洋館を見つけたダンたちは中の人を呼ぶが、そこには岩村博士が榊と一緒に泊まっていた。
岩村博士は調査のために洋館を借りているという。
「今度の連続地震が宇宙の侵略でないとどうして言えるんだ」と博士。
「先生、機械の準備が終わりました」。
2階から降りてくる榊。
「機械が来ても電気がないんじゃどうしようもない」と博士。
榊に挨拶するアンヌ。
「この男はわしの右腕だ。若いけど優秀な科学者だ」。
榊を紹介する博士。
女性の持っている鉱石を見て興味を示す博士。
驚いて榊に鉱石を見せる博士。
鉱石はウルトニウムという地球の核を構成する物質で、大量に運び出されると地球は核を失ってバラバラになるという。
報告を聞いたキリヤマたちはマグマライザーを出動させることを決定。
アマギとソガはマグマライザーをホークに積んで青沢山岳地帯へ空輸する。
マグマライザーに乗り込んだ、アマギ、フルハシ、ダンは山壁を破壊し地下へ向かって掘り進む。
何かの叫び声を聞く3人。
キリヤマに連絡するフルハシだが、電波が弱く通信できない。
地磁波の影響じゃないかとタケナカ。
マグマライザー内の温度が上がり、警告ブザーが鳴る。
「ダン。ダン」。
無線に呼びかけるアンヌと博士。
「事故が起きたんですよ」。
冷静に分析する榊。
「マグマの中に突っ込んでドロドロに溶けたのかもしれません」と榊。
榊はアンヌに博士の影を見るように耳打ちする。
博士の影を見るアンヌ。
するとそこには人間ではない、怪物の影が動いていた。
榊はアンヌを促し、一緒に洋館から逃げ出す。
そこへラリーの2人が洋館へ戻ってきた。
2人は榊が落とした金属のバッジのようなものを持ち帰り、博士に見せる。
それを見て驚く博士。
「榊がどうしてこれを」。
その頃アンヌと榊は崖の方へ来ていた。
そこへ現れる博士。
「榊、これは何だ?榊、君は一体何者だ。これは地球の金属ではないぞ」。
「知らない、これは私の物ではない」と榊。
「じゃあ、捨てていいんだな」。
博士が金属を捨てようとすると、榊はそれを奪い取り胸に当てた。
正体を現す榊。
「暗黒星雲の惑星、シャプレー星人だ」。
驚くアンヌにさっきのは簡単な催眠術だと星人。
星人に言われて自分の影を見るアンヌ。
するとアンヌの影が怪物になる。
銃を構えるアンヌに星人がレーザー銃で攻撃。
避けるアンヌと博士。
そこへソガがやってきて、2人で星人を狙撃する。
「ギラドラス。ギラドラス」。
叫びながら炎上する星人。
その声に反応した怪獣ギラドラスが地下から現れる。
近くにいたマグマライザーはその衝撃でマグマだまりの空洞に落ち込んでしまった。
室内の温度が上昇し、気を失うアマギとフルハシ。
必死にセブンに変身するダン。
マグマライザーを救出して地上に現れるセブン。
荒天の中ギラドラスと戦うセブン。
雪まで吹雪いてきて寒さに弱いセブンはダウンしてしまう。
気力を振り絞る立ち上がるセブン。
アイスラッガーを投げつけギラドラスの首を切断する。
切断された首からは大量のウルトニウムが。
ウルトニウムを食べていたのはギラドラスだった。
雪も止み、山には虹がかかる。
飛び立つセブン。
マグマライザーに戻ったダンはアマギとフルハシを揺り起こす。
地上に出ていることに驚く2人。
「僕も今、目が覚めたんです」とダン。
外には博士とアンヌたちが。
本部に事件解決を報告するアンヌ。
「マグマライザーはどうした。無線が通じないんだ」とキリヤマ。
それを聞いてフルハシは無事を報告する。
「マグマライザーは無事、ウルトラセブンによって助け…られたらしいです」。
岩村博士の助手兼ボディガード役で居残るよう指示を受けるフルハシ。
苦い顔をするフルハシ。
博士たちと無事を喜びあう3人。

解説(建前)

シャプレー星人はなぜ榊として岩村博士の助手になったのか。
まずシャプレー星人が地球へ来た目的は、ギラドラスを使って地球のウルトニウムを採掘するため。
ウルトニウムそのものを入手したかったのか、地球の核を破壊したかったのか判然としないが、ギラドラスの体内にウルトニウムが蓄えられていたことから、恐らく前者であろう。
使用目的はわからないが、いずれ自分の星に持ち帰るつもりだったと考えられる。

ただ、ウルトニウムを入手するだけなら、何も地球人に変身して調査をする必要性がない。
これはどういう意味があったのであろう。
そもそもどうやって博士の助手になったのか。
榊が助手をしていたのは世界的に有名な科学者。
出自の怪しい助手など普通は採用しない。
いくら榊が優秀でも、それ相応の学歴や研究実績は必要であろう。

ただ、これについてはねつ造は可能だったのではないか。
博士は偏屈であり、恐らく助手を雇ってても長続きしなかった。
学会からも浮いており、親しい研究者もあまりいなかったと思われる。
その状況なら同様に研究仲間等のいない榊でも採用されやすかったのではないか。
嘘の履歴書を持ってきた榊についてよく調べもせず取り合えず助手にしたら案外優秀だったので雇った。
榊自身は宇宙人であり、怪獣を使ってウルトニウムを採取するなど地球人に比べたら優秀なのは明らか。
実力主義の博士が採用したのも不思議ではないだろう。

では、そこまでして榊が博士の助手になったのはなぜか。
一つに博士が地球の核の研究の権威であったことから、自分の計画のための資料を得るという目的があったのではなかろうか。
ギラドラスを使ってウルトニウムを採掘するにしても、ある程度のデータがないと何処をどうやって掘ればいいのかもわからないだろう。
青沢山岳地帯が選ばれたのも、博士の研究資料から導かれた可能性が高い。

ただ、それでも地球人に変身するのはリスクが大きい。
データ等は盗めば何とかなりそうなので、何も自分自身が表に出る必要はない。
これはやはりもっと根本的な理由があるのだろう。
シャプレー星人は本来の姿に戻るには宇宙金属で出来たバッジのようなものが必要であった。
これは言わばセブンにおけるウルトラアイのようなものである。

セブンが普段地球人の姿になっているのは、常にセブンの姿だと目立つというのもあるが、恐らくずっと変身してるのはエネルギー消費が高いからであろう。
同様にシャプレー星人も地球に長く滞在するには普段の姿だとエネルギー消費が大きい等の問題があったのではないか。
地球に長く滞在する必要があった星人は地球で生活の基盤を築く必要があった。
そのため、地球人に成りすまして、地球で生活していたのであろう。

シャプレー星人には仲間がいなかった。
個人で一攫千金を得るために地球に来たのか、それとも孤独な研究者だったのか。
地球人に変身して仕事をして生活基盤まで築いていた姿にはかなりの覚悟を感じる。
今わの際に叫んだ「ギラドラス」という言葉。
あるいはギラドラスが孤独な星人にとって、唯一の仲間だったのかもしれない。

星人がアンヌに博士の影を怪獣に見せたのはなぜか。
これは警備隊の探索によりギラドラスの正体がばれ、自分が疑われることを恐れて、先に博士を抹殺しようとしたのであろう。
星人はそのうち博士に自分の正体がばれるだろうと思っていた。
そこで警備隊を味方につけ、隙を見て博士を殺すつもりだったのではないか。
その際、アンヌに自分を弁護してもらうために博士の影を怪獣に見せたのであろう。

感想(本音)

我ながら苦しい解釈になってしまったが、脚本的には話の面白さに重点を置いているので、榊の行動に不合理な点が出てしまうのは致し方ない。
子供目線では博士が悪者だと思わせての逆転劇、マグマライザーの大ピンチからのカタルシス等、普通にエンターテインメント性の高い作品となっている。
重いテーマの多い若槻氏よりは伊上勝氏辺りが書きそうな、娯楽性の高い脚本であろう。
演出面ではゲストキャラの博士と榊のキャラがよく立っているのが目を引く。
榊の善人そうな雰囲気の中に潜む胡散臭さみたいなものもよく描けてるだろう。
そして本話を楽しいものにしてるのは博士のキャラ。
博士に翻弄されるダンやフルハシというコメディチックな演出も本話の特徴である。

子供の頃に本話を見た印象では、やはり怪獣ギラドラスのインパクトが大きかった。
特に切断された首から結晶体が零れ落ちるシーンは未だに印象に残っているほど。
一方話の内容はと言うと、正直あまり覚えてない。
小学生低学年にとってはちょっと分かりづらかったのであろう。
またラリーの女性なんかは今見てもなぜ出てくる必要があったのかわからない。
一応ウルトニウムを拾ったり、榊が落とした金属拾ったり重要な役どころではあるのだが、正直いてもいなくても変わらないような。
セブンではラリーがよく出てくるが、これは当時日本でラリーがちょっとしたブームになってたことによるとか。
そういう時代背景を調べるのも、昔のドラマや映画の見方の一つであろう。

本話はウルトラの地底戦車の代名詞的存在マグマライザーの活躍を描いているが、案の定最後は動けなくなりセブンに助けられた。
もう地底戦車の出動自体が死亡フラグというか、お約束だが(笑)これほど危険な任務は他にないだろう。
子供目線的には地底を掘り進むのはワクワクするというか夢があっていいのだが、まあ普通に考えたらああなるよな(笑)。
いくら調査とはいえ、地震多発地帯にあんなもので乗り込むとか無謀すぎる。
しかも一体何がしたかったのかもよくわからないし、こんな乗り物が現実化する可能性はないでしょうね(笑)。

本話において警備隊の行動はややお間抜けではあるが、敵であるシャプレー星人榊も負けてはいない(笑)。
アンヌというか視聴者を欺くために博士の影を怪獣にしたかと思うと、あっさり正体がばれて、しかもソガとアンヌにあっさりやられてしまう。
しかもゼットン星人ばりに断末魔の叫びで「ギラドラス」と叫ぶも、こちらもセブンに完敗。
傍から見てると星人の独り相撲。
わざわざ博士の助手に成りすましてまでウルトニウムを集めていたが、一体何に使うつもりだったのか。
地球征服的な大きな野望もなさげであったし、結局命を粗末にしただけ。
まあウルトラシリーズでは往々にしてよくあるのだが、なんともいただけないキャラであった。

本話でよくわからなかったのは、セブンとギラドラスの戦闘シーンで急に寒くなり雪まで降ったこと。
地震雲とはよく言うが、その類の気候変動なのだろうか?
ギラドラスを倒すと急に晴れて虹まで出るし、おまけにセブンが気候をコントロールしたようにすら見える。
セブンが寒さに弱いという点を描くのなら、その後セブンが天気をコントロールしては台無しだし、正直意図不明の演出であった。

本話は前述したようにかなり娯楽性の強い作品。
セブンは本格SFで大人向きでというイメージを持たれがちだが、初期にはこういう娯楽性の強いエピソードが結構多い。
というか、ウルトラシリーズにおいてはむしろ娯楽性こそ王道なので、こういう話をこそ素直に楽しめる感性は失わないようにしたいところだ。
個人的に榊がバッジをつけて星人に変身するシーンが名乗りの外連味を感じさせお気に入りだが、やっぱり悪役には高笑いして自己紹介して欲しいもの(笑)。
セブンには数少ない怪獣も登場しているし、子供目線でも大人目線でも楽しめる良作だと思う。

セブン第19話 セブン全話リストへ セブン第20話