マックス号応答せよ


データ

脚本は山田正弘・金城哲夫
監督は満田かずほ

ストーリー

マナベ参謀に呼び出されたアマギとソガ。
2人は参謀よりある地点である男と会い、その指揮下に入るよう極秘の指令を受ける。
ポインターで2人を送るダン。
ダンは海辺まで2人を送ると、2人は小型ボートに乗り地球防衛軍の誇る新鋭原子力船マックス号へと向かう。
基地への帰路、ダンは車が故障して立ち往生している女性に出くわす。
車の修理を買って出るダン。
しかしダンは車の様子を見ていたところ、後ろから女性に殴られてしまった。
気を失ったダンからウルトラアイを盗み取る女性。
一方マックス号に乗った2人は船内でタケナカ参謀に会い、今回の作戦の目的を聞かされる。
1か月の間に原子力タンカーが2台、相次いで消息を絶った。
さらに1週間前、原因調査に派遣された海上保安庁の調査船も姿を消す。
色々検討した結果何者かの陰謀によるとの説が出て、事件を極秘に捜査することになったという。
マックス号の乗組員たちは消息を絶った船を発見し、陰謀団を撃滅するという使命を負っていた。
一方基地に戻ったダンはアンヌの治療を受けていた。
「何があったの?」とアンヌ。
「そいつは僕も知りたいんだ」とダン。
「だって自分でやったことでしょ?」
頷くダン。
「もう絶対乱暴しちゃいやよ」。
そう言ってダンにお守りのネックレスを渡すアンヌ。
「女は初めからウルトラアイを狙っていたのだ。くそう、何て迂闊なことを」。
回想するダン。
その頃例の海域まで来ていたマックス号。
すると突如船体が宙に浮いた。
赤い煙に包まれ宇宙へ飛ばされるマックス号。
連絡を絶ったマックス号を捜索するためウルトラホーク1号で出撃するダンとキリヤマ。
ホーク1号は2時間に亘る捜査を行うが、何の手がかりも得ることはできなかった。
一方ホーク2号で宇宙へ飛んだフルハシはマックス号を発見する。
本部へ連絡するが、妨害電波のため連絡が取れない。
中へ入ったフルハシは倒れているソガたち3人を発見。
意識を取り戻す3人。
そこへゴドラ星人が現れた。
星人はある海域で事件が頻発すれば防衛軍の注意力がそこへ向く。
その隙に地球を征服すると言うのだった。
基地へ戻るダンとキリヤマ。
フルハシと連絡を取れないことを訝しがる2人。
そこへ2号が帰還した。
「通信機のヒューズが飛んじゃってねえ」とフルハシ。
マックス号は何処にも見当たらなかったとフルハシ。
フルハシは海底の徹底捜査を提案する。
しかしフルハシの様子から直感的に違和を感じるダン。
フルハシを尾行するダン。
動力室に入ったフルハシは原子炉に爆弾を仕掛けた。
「貴様は誰だ。正体を現せ」とダン。
正体を現すゴドラ星人。
「さすがはモロボシダン。いやウルトラセブンだ」と星人。
すかさず銃を構えるダンだが、星人のビームにより銃を落とされる。
さらにアンヌからもらったネックレスもちぎれ落ちる。
星人によりカプセルに閉じ込められてしまうダン。
星人はダンの姿に変身。
「原子炉が爆発するまで大人しく寝ているんだ、ウルトラセブン。あと15分で君の体は木端微塵さ」。
高笑いする星人。
その頃マックス号でも星人が原子炉に爆弾を仕掛けたことを4人に告げていた。
「ウルトラセブンだけではない。あと15分もすれば地球防衛隊は原子の粒となって吹っ飛んでしまうだろう」。
「ウルトラセブンも倒されたのか」とアマギ。
「待て、そんなはずはない。ウルトラセブンが倒されたのなら、我々を生かしておくわけがない」と参謀。
15分以内に爆弾のことを知らせるため、アマギが観測用ロケットでマックス号を脱出することになった。
戸口の星人を倒してロケットの発射台へ向かう4人。
しかしロケットの発射寸前に別の星人に襲われ発射担当のフルハシとロケット内のアマギは気を失ってしまう。
最後の力を絞って発射スイッチを入れるフルハシ。
ロケットは宇宙へ向かって射出された。
ロケットは防衛軍に回収され、アマギは医務室で手当てを受ける。
アマギの手当てを終えて部屋を出るアンヌ。
そこへダンが通りかかる。
「もう傷は治ったの?」とアンヌ。
ネックレスがないのに気付くアンヌ。
一方動力室のダンはカプセルに閉じ込められたまま脱出できない。
爆発の時間が刻一刻と迫る。
その時何者かが室内へ入ってきた。
助けを呼びかけるダン。
しかしそれはダンからウルトラアイを盗んだ女であった。
ネックレスを拾い上げる女。
ダンがそのネックレスにウルトラガンを放つと光線が弾き返されカプセルが破壊される。
ダンはカプセルから脱出した。
「もう全ては終わりよ。あと3分でこの基地は爆破されるわ」と女。
「誰だ。なぜ逃げようとしないのだ?」とダン。
「それはもとより覚悟の上。地球防衛軍とともに滅びること。それが私に与えられた使命なのさ」と女。
女はゴドラ星人の変身であった。
正体を現す星人。
星人と格闘するうちに星人はダンから盗んだウルトラアイを落としてしまう。
すかさずそれを拾って変身するダン。
一方医務室で意識を取り戻したアマギは時限爆弾のことをキリヤマに伝える。
第二動力室に入り、原子炉に仕掛けられた爆弾を解除するキリヤマ。
キリヤマに襲い掛かる星人をエメリウム光線で倒すセブン。
そこへダンに連れられたアンヌが入ってきた。
「それはダンじゃない。ゴドラ星人だ」とセブン。
ゴドラ星人が変身したダンは銃を抜いてセブンを撃とうとするが、逆にアイスラッガーをぶつけられてしまう。
ポインターで逃げ出す星人。
セブンは空を飛びポインターを追う。
広場に出た星人は巨大化。
対抗してセブンも巨大化して星人と格闘する。
エメリウム光線で星人を爆破するセブン。
セブンと星人を追いかけてきたアンヌとキリヤマ。
セブンはキリヤマから時限爆弾を渡されると、マックス号へ飛び中にいる3人を助けだす。
時限爆弾で爆発するマックス号。
皆の無事を喜ぶアンヌとキリヤマ。

解説(建前)

ゴドラ星人はなぜダンがセブンだと知っていたのか。
またなぜウルトラアイを壊さなかったのかについては第3話に書いたので割愛。
では、なぜわざわざダンの前にウルトラアイを持って現れたのか?
この星人の役割はダンからウルトラアイを盗んで防衛軍の最期を見届けるというものだった。
ダンを捕えたもう一人の星人はこの星人に連絡し、ダンを見張るよう指示したのであろう。
しかしこの星人はウルトラアイを別の場所に遺棄せず、うっかり持って来てしまった。
結局、この星人が迂闊だったということになろうか。

ではダンを捕えた星人がダンを殺さずカプセルに閉じ込めたのはなぜか。
これも変身前のダンであろうと殺すのは難しいというのが大きな理由であろう。
ゴドラ星人の光線はあまり威力がなく、殺傷能力に乏しい。
マックス号の船員も光線ではなく船外に放り出して殺しており、ゴドラ星人はあまり強力な武器を持っていないと思われる。
わざわざ船を攫って陽動作戦を取っていることからも、直接の戦闘は想定してなかったのであろう。
船を浮かせるなどの科学力はあるようだが、地球を直接侵略する武力に関しては乏しいようだ。

感想(本音)

ツッコミどころ満載の詰めの甘い話。
スパイアクション的な雰囲気は感じられるがそれは途中までで、最後は如何にも子供向けヒーローもの展開で終わってしまった。
ウルトラは本来子供向けだから悪いとは思わないが、やや拍子抜けなのは否めない。
また例の如く解釈も強引になっており、結局ゴドラ星人が間抜けという一言で終わってしまう(笑)。

そもそもこのゴドラ星人は何物なのか?
ピット星人に比べると仲間は多いようだが、一つの星を代表するにしては少なすぎるので、やはり輩というか海賊的な連中であろう。
セブンと防衛隊さえ倒せば何とかなると思ってるようだが、本当にこいつらで勝てるのか?
ちょっとした兵器で倒されるし、自分たちも取り立てて強力な武器は持っていない。
さすがに地球を舐めすぎであろう。

いきなり女性に殴られウルトラアイを盗まれるダン。
しかし、この世界ではダン=セブン、変身アイテム=ウルトラアイは丸バレなのか(笑) 。
また、今回少し気になったのはダンが治療を受けるシーン。
普通なら念のためレントゲンを撮るような怪我だと思うが、これはダンが断ったと解釈しておこう。
ただレントゲン云々の設定は最終回までなかったのではないか。
初代のハヤタだと何の問題もなかったが、初めての変身型宇宙人であるダンについてはまだまだ設定が練れてなかったろうので、この頃はそういう意識はスタッフにもなかった可能性が高い。

今回無理を感じたのはアマギのロケット脱出。
あと15分しかない状態で10分くらいで地球に戻ってきてることになる。
正直ありえない(笑)。
その後意識を取り戻して、キリヤマが爆弾を解除するのも一瞬。
そもそも防衛軍と一緒に死ぬ使命を負った星人がいたのだから、そいつがその場で起爆装置を押せばよかったのに(笑)。
破綻しまくりとしか…。

ゴドラ星人は弱いくせに船を丸ごと宇宙へ飛ばすという恐ろしいことができる。
それをもっと有効利用したら防衛隊の攻撃力など無力化できそうなものだが。
しかしこのマックス号は何とロケットまで備えている。
まさに海の要塞だ。
ダンがカプセルから解放されるシーン。
ウルトラガンのレーザーがネックレスに当たって反射され外から爆破できたが、どこまであのゴドラ星人はドジなんだ(笑)。
というか、スリリングなシーンだけ先に考えてそれを適当に繋げただけというパターンが今回は目立った。

ツッコミだすと切りがないのだが、最後に少し見どころを挙げてみよう。
今回はホーク1号、2号の発射シークエンスが丁寧に描かれていた。
例の「forth gate open」も今回が初出である。
因みに上記セリフは満田監督が吹き込んだとのことである。
その満田監督ということで、ダンとアンヌの描写に力が入っていた。
ペンダントを自分の代わりにと渡すなんてまるで恋人同士。
ただ、ダンは上の空であり、現時点ではアンヌの一方通行か。
しかし結局アンヌはセブンに言われるまでダンの偽物に気づかなかった。
どうせなら偽物に気づくシーンを入れて欲しかったが。

セブンにありがちな展開なのだが、最後ダンのことは皆忘れ去っていた。
どう聞いてもセブンの声はダンなのだが。
しかも「隊長」って(笑)。
ラストの隊員たちの救出シーンについては、セブンの念力でバリアーを張り宇宙空間を脱出したと解釈しておく。
じゃないと、参謀はどう考えても宇宙空間に耐えられる服装ではないので。
切りがないと言いつつ、最後にまたツッコんでしまった(笑)。

本話はかようにツッコんだら切りがないくらい粗の多い話。
正直話の出来としては誉められたものではない。
ただ、それも大人視点のもので、子供の頃は素直にこの話を楽しめた(再放送世代だが)。
当時はまだまだ特撮モノも少なく視聴者である子供たちも素朴。
今の戦隊やライダーなら没になりそうな話だが、当時なら問題はなかったであろう。
本話の脚本は山田正弘の脚本を金城哲夫がリライトしたとのことであるが、それで無理が出たのであろうか。
ただ、ウルトラマンとはかなり方向性が違うため、金城氏がまだセブンの脚本に慣れてない感じも見受けられる。
この辺りはまだまだ手さぐりであったのだろう。

個人的には爆弾のありかをベラベラとアマギ達に教えてしまう星人、ロケット発射を阻止したつもりが見逃してしまう星人等星人の無能ぶりが気になってしまったが、この辺りは変に話を細かくしようとしたのが裏目に出たのであろう。
そもそもこれだけ大掛かりな作戦を30分弱の尺でまとめるのが無理。
セブン暗殺計画みたいに前後編にすればもう少しまとまったかもしれないが、今回は気合だけ空回りしたという感じがする。
ただ、こういう試行錯誤があってこそさまざまな侵略宇宙人を描くことができたわけで、そういう点では意義の作品と言えるであろう。

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