涙よさよなら…


データ

脚本は田口成光。
監督は深沢清澄。

ストーリー

スポーツセンターで運ていの練習をするトオル。
それを応援するトオルの父親。
トオルはゲンの指導により最後まで到達することが出来た。
喜ぶトオル親子。
スポーツセンターからの帰り道、トオル、カオル、父親の三人は突然何者かに襲われた。
トオルの父親は体を一瞬の内に真っ二つにされてしまう。
そして現場にはレオの顔をかたどった金属片が残されていた。
スポーツセンターへ戻ってきた2人はゲンたちに事情を話す。
「こいつが殺したんだ」。
レオの金属片を踏みつけるトオル。
事件から3日目の夜、鈴木隊員と2人に会いに行くゲン。
両親のいない2人はとりあえず、鈴木隊員の下に引き取られることになった。
しかし2人は車で鈴木隊員の家へ向かう途中また何者かに襲われる。
車外に出た鈴木隊員。
しかし何者かに真っ二つにされてしまった。
現場を調査するMAC。
ダンは犯人が残していった物質が宇宙金属で出来ていることから、何者かがレオの名を語り、挑戦してるのだとゲンに言う。
「容易ならざる技を持った相手だ。正体がハッキリするまで追ってはならん」。
次の日、ゲンはダンが単身現場付近を調査していることを知る。
ダンの背後を付け狙う怪しい姿。
その宇宙人はダンに切りかかる。
ダンは杖で応戦するが、杖も星人によって切り裂かれてしまう。
そこにダンを探しに来ていたゲンが助けに入った。
しかしゲンはダンに殴られ意識を失ってしまう。
切られた杖を投げつけ相手に突き刺し、敵を追い払うダン。
翌日、自分の部屋で目を覚ますゲン。
ゲンは昨日殴られたことに対してダンに文句を言う。
しかしダンは「ああしてなければお前は死んでいたんだ」と突き放す。
「奴はツルク星人だ。まともにやって敵う相手ではない」とダン。
そこへ都内に怪獣出現の知らせが入ってきた。
マッキーで出動するゲン。
しかし星人の技になす術がない。
ゲンは辛くもピンチを逃れるが、他の隊員のマッキーが撃墜されてしまう。
全機引き上げを命じるダン。
基地に戻ったダンにゲンはMACが市民に腰抜け扱いされていると詰め寄る。
しかしダンはそれには耳も貸さず、マッキーの速度を倍にするよう指示を出した。
「隊長にはトオル君兄妹や残された鈴木隊員の奥さんの悲しみはわからないのですか。僕たち宇宙人だって涙はあります」とゲン。
「私はお前の涙など見たくはない。今や自体は甘くはないんだ。マック全機のスピードを倍にしたところで星人に勝てるわけがない。大事な隊員のためだ」とダン。
「星人に勝つ方法はただひとつしかない。ウルトラマンレオだ」。
「それならあの時でも」。
「慌てるな、今のお前の技では勝てない」。
「夕べなぜ私がお前の頭を打ったのかわかるか」。
「左右の手刀が2段攻撃でお前の頭を狙っていたんだ」。
「それに勝つにはひとつしかない。お前はそれを覚えるんだ」とダン。
特訓を開始するゲン。
しかしダンの杖を使った2段攻撃の前に帯を切られてしまう。
「2段攻撃を交わしてさらに攻撃しなけらばならない。絶対に避けてはいかん」とダン。
猛特訓を見守るダン。
「お前は必ず勝たねばならないんだ」とダン。
基地に戻り一人ウルトラアイを見つめるダン。
ダンは悔しかった。マグマ星人との戦いに敗れていなかったらゲンにこれほどの苦しみを負わせることはなかったのだ。
「彼らはまだ私を信じてる。エンジンをチェンジすることで勝てると思ってる」。
なかなか特訓が成功しないゲン。
その時星人出現の知らせが。
苦渋の決断で、隊員たちを出動させるダン。
しかし星人にMACの攻撃は通用しない。
撃墜されるマッキー。
犠牲者を目の前にしてレオに変身するゲン。
しかしツルク星人の攻撃の前に防戦一方となる。
何とかツルク星人を持ち上げ投げ飛ばすレオ。
しかしすぐに反撃され地に塗れる。
遂には星人に投げ飛ばされダメージを負ってしまった。
カラータイマーが鳴り絶体絶命のレオ。
ツルク星人の手刀で斬られ、東京湾に沈むレオ。

解説(建前)

ツルク星人は何者か。
ダンは地球侵略の目的でレオの名を語ったと言ってるが、その割には巨大化して暴れるだけであまり計画性は感じられない。
これはやはり背後に何者かがいると考えるのが妥当であろう。
ただ星人自身はやはり破壊、殺戮に重きを置いてるようにも見える。
結局星人にとっては地球征服は大したことではなく、レオと戦うことこそ目的だったと解釈するのが素直であろう。
では、星人のバックにいるのは何者か。
これはマグマ星人とも考えられるし、ブラックスターの筋とも考えられるし、番組内では明らかにならない。
いずれにせよ地球が凶悪宇宙人の標的にされてるのは間違いないだろう。

ダンの使う杖は何で出来てるのか。
ダンは度々この杖で敵と戦っており、普通の杖とは思えない性能を持っている。
とすると、ウルトラの星から持ってきた物質で出来ているのであろうか。
しかしこの杖は今回敵に切られており、そうやすやすと再生産できるのか疑問もある。
これは素直にMACの科学技術で作られたと解釈しよう。
そしてこの杖が普通の杖以上の性能を発揮するのは、やはりダンが何らかの超能力を使っていると考えるのが妥当であろう。

感想(本音)

とにかく今見ても怖いツルク星人。
怪獣の切断でさえ放映が難しい昨今、このエピソードを地上波で放映するのはほぼ不可能であろう。
まあ、確かにこれはやり過ぎの感はある。
ただ当時はこういう残酷シーンは普通にテレビや映画で見られるものだった。
そういう風潮からすれば、それほど逸脱はないのかもしれない。

第3話にしてトオル君初登場。
果たしてトオルは最初からスポーツクラブにいたのか、それとも妹の影響で入ったのか。
はっきりと描かれてはいないが、1,2話でカオルと行動を共にしていなかったことから、後から入ったと考える方が素直な気がする。
まあ、単にトオル自身、病気か怪我でクラブに来れなかっただけかもしれないが。

トオル、カオル兄妹受難第一弾、父の死。
トオル、カオル兄妹にはこれでもか、これでもかと苦難が襲い掛かる。
カオルは結局死んでしまうのだが、これだけ不幸なレギュラー少年少女はシリーズ初だろう。
次郎の場合はシリーズ終盤までは幸せな生活を送っていた。
ダンは不幸な生い立ちだが、それほど悲惨さは感じさせなかった。
子どもたちを甘えさせないという制作側の強い意志が感じられる。

今回もMACはいいとこなし。
いきなり鈴木隊員が殉職したかと思うと、マッキーが墜落してまた犠牲者が。
しかしマッキーの脱出機構はどうなってるのだろう。
宇宙での活動が前提だから脱出機能がついてないとか。
それはないにしても、TACやZATで大活躍した脱出機構が軽視されてるとしたら、MACはなかなか恐ろしい組織である。
まあ恐ろしいのはスタッフなんですけどね。

今回は何と言ってもツルク星人の凶悪振りが目に付く。
トオルの父と鈴木隊員を一刀両断。
しかも両方ともトオル、カオルの目の前で。
他に犠牲者が出てないところを見ると、これはやはり2人の周辺を狙ったのだろうか。
とすると、ゲンの正体がばれてる?
レオの金属片を残したのはゲンを挑発するためだろうし、やはりツルク星人は何者かに示唆されて地球にやってきた可能性が高そうである。

2人が切断された特撮はなかなかリアル。
しかも闇夜のシーンで、これは下手なホラーより怖い。
昭和ウルトラでも屈指の恐怖シーンであろう。
しかし2人も目の前で惨殺されてトオル、カオル兄妹は大丈夫か。
今なら絶対トラウマになると思われるが。
もしかすると、2人は既に母を失っており普通より強いのかもしれない。
それはともかく、これをリアルで見ていた視聴者がどれくらいトラウマになったかは、映像が子どもたちに与える影響を考察する上でも興味深い。

今回ダンは杖一本で星人と互角以上に戦っている。
しかも不自由な足で。
とは言え、ゲンが助けに入らなかったらかなりピンチだったぞ。
まあゲンをノックアウトする余裕があったので大丈夫だったのかもしれないが。
とにかく特訓でもゲンを圧倒するなどダンの格闘能力の高さが目立った話である。
またMACの隊長としてもMACでは敵わないとしっかり分析できており、変身能力を失ってもその実力は普通の地球人とは一線を画す。
にしても、マッキーのスピードを倍にしても無駄だってのは何か容赦ないな。
これだけ隊長から信頼されてない組織も珍しい。
伊達にシリーズ半ばで全滅しない。

レオのあらすじを書いていて思うのは、セリフがかなり多いということ。
タロウのレビューではそれほどセリフが多くないので、これはレオが人間ドラマを重視してることによるのだろう。
あと、宇宙人同士の会話というシリーズ初の試みがなされてる点も大きいと思われる。
レオ前半は2人の会話がとにかく熱い。
名セリフも続々出てくるし、特訓と共に2人の会話は前半の特徴の一つとなっている。

ダンの戒めを破って技の完成を待たずに戦うレオ。
目の前で殉職者を出してればそりゃ変身して戦いたくもなるであろうが、やはり無理なものは無理であった。
最後は海の中で泡となって消えてしまう。
しかし最初からレオは苦戦の連続である。
これはやはりレオの実力不足によるのか、敵が強いせいか。
タロウは負けても相手が強いという風に感じられた。
しかしレオは…。
その辺り、レオの人気が低下した一因である点否めまい。

レオ第2話 レオ全話リストへ レオ第4話