黒い蟹の呪い


データ

脚本は田口成光。
監督は山際 永三。

ストーリー

岡山上空をパトロ-ル中の北斗は海上の赤い2つの光に気付く。
それはキングクラブの目だった。
その頃浜辺ではカブトガニの密猟者が陸に引き上げたカブトガニを地元の漁師の子、夢二が奪って逃げていた。
追いかける密猟者だが、その間に仲間が海に引きずり込まれてしまう。
翌日、地元岡山に姪のユミコを連れて夏休みを取っていた今野は、浜辺で事件を調べる警察や密猟者に出くわす。
その時、密猟者は夢二を見つけ、カニを返せと追いかけた。
それを制止する今野。
逆に夢二は密猟の件を訴えて、密猟者は警察に調べられることになる。
夢二が助けたカブトガニは漁の途中事故に遭った夢二の父親が乗り移ったものだった。
夢二はカブトガニを助けた時拾った貝殻でカニの声を聞くことが出来た。
夢二と仲良くなったユミコは夢二に大蟹を見せてもらう。
その時夢二は大蟹から何者かがカニを改造して町を破壊しようとしていると聞く。
急いで今野に伝えに行くユミコ。
しかし沖から超獣キングクラブが出現した。
連絡を受けてアローで北斗が飛んでくる。
北斗は今野とユミコを助け、TACもファルコンで駆けつけた。
キングクラブは駆けつけたTACの攻撃で姿を消す。
カニと話が出来る夢二のことを聞いた北斗は大蟹と話をし、ヤプールのことを聞きだす。
北斗の知らせを聞いた隊長は北斗と南に大蟹を使った探索を指示。
すると、大蟹は山頂付近にキングクラブの気配を感じる。
窒素爆弾でいぶりだすTAC。
酸欠で苦しくなったキングクラブは再び姿を現す。
炎を吐いて大暴れするキングクラブ。 夢二はバランスを崩し、大蟹はキングクラブの炎に焼かれてしまう。
一方、北斗と南もバランスを崩し、坂を転げ落ちる。
その時2人のリングが光った。
苦しみながらも最後はアタックビームでキングクラブを爆破するエース。
大蟹が死んで落胆する夢二だったが、北斗、南は貝殻を耳に当ててごらんと言う。
その時、貝殻から父親の声が聞こえた。
それを見て去っていく北斗と南。
しかし、父親は北斗の正体を見破っていた。
夢二にあの人がウルトラマンエースだと教える父親。
夢二の顔には笑顔があった。

解説(建前)

夢二の父親が北斗の正体を見破ったのは、自分と会話できる人並みはずれた能力と、その場に現れたエースを結びつけたからだろう。
しかし、夕子の正体に気付いたかは不明。
まあ、夕子とは会話もしてないので、正体を見破るのは不可能だろう。
とは言えエースは北斗にしか乗り移ってないとすれば、夢二の父親の言うことは間違ってはいないことになる。
今回のヤプールの作戦は前回からかなりスケールダウンしている。
蟹の怨念を利用するというのは後期の超獣に多いパターン。
前半では人間の怨念と古代魚を合体させたガランの例があるが、生物そのものの恨みを利用するのは初めて。
しかしこのスケールダウン振りはヤプールの勢いが弱まっていることを証明している。
ヤプール壊滅へのプロローグなのか。

感想(本音)

まあ、普通な話。
新マンのBGMが多いことから何となくエースの感じはしない。
エースはもっと異次元人と人間との戦争といった感じなのだが、今回は蟹の怨念を利用する点何処か違っている。
まあ、今回は初めに岡山ロケありきなのでこういう話になったのであろう。

しかしアンチラ星人の回といい、田口氏は何故北斗と南の正体を子供に教えようとするのか。
子供ならいいという考えなのだろうか。
しかし夢二がユミコ(今野の姪)に喋ったら厄介なことになりそうな気がするが。
夕子は犬が壁の向こうの仲間を知ることが出来ると、またまた博識振りを披露。
テレパシーの実験といい(これって月星人そのものでは?)、カルトな知識は豊富である。
あと、エースが相撲を取る演出は田淵氏の得意技なのか。

田口脚本の北斗と夕子は、恋人というよりは同士という感じがする。
ヒーローものとしては極めてオーソドックスな解釈だが、作家それぞれに捉え方が違うので、見る方も大変だ。
でも星光子は夕子は北斗に恋心を抱いていると思って演技してるのでは。
彼女の演技からは何となくそういう雰囲気を感じます。
かなり主観ですが。

15話を終えた時点でエースの脚本は市川氏5、上原氏5、田口氏5となりました。
しかし市川氏はここから48話まで脚本書かないんですね。
没プロット(超獣狩り大作戦)があることから完全にやめたわけではないんですが、テンションの低下は明らかですね。
この辺でもう少しやる気を見せてれば、エースの迷走はなかったのかもしれません。
まあ今さら言っても仕方ないんですが。

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