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帰ってきたウルトラマンとは
ウルトラマン、ウルトラセブンに続くウルトラシリーズ第3弾で主役はMAT隊員である郷秀樹。
本作ウルトラマンは企画段階では初代マンが地球に帰ってきたという設定であったが、最終的には初代マンに代わる新たなウルトラマンであると設定変更された。
名前は劇中ウルトラマンとしか呼ばれておらず、それでは初代マンとの区別が出来ないという円谷プロの配慮から後にジャックと命名されたが、個人的には当時(再放送時)新マン新マンと呼ばれていたのでそちらの方が馴染みが深い。
そういうことで当サイトではジャックのことを新マンと呼ばせてもらうことにする。
変身方法は道具を使わず、郷がピンチに陥いるか人間としてすべきことをしたとき初めて変身できるという設定になっている。
その辺りを捉えて、説教くささを指摘する向きもあるが、新マンと郷の一体度は他のウルトラマンよりも強いのであろう。
郷の真摯な気持ちが備わってこそ初めて変身が可能になると解釈すべきである(軽い気持ちで簡単にウルトラマンに変身できるとする方が不自然である。本来は郷と新マンは別人なのだから。仮面ライダーとは違う)。
このことからわかるように、このウルトラマンは郷との一体度の強さから郷の精神状態に力が左右される場合が多い。
それは時にはプラスに左右するし、時にはマイナスに左右する。
その辺諸刃の剣であるが、このことは結果としてこのウルトラマンを非常に人間くさいものにしたと言えるであろう。
ストーリーは郷がウルトラマンという自我を持ったことから生じる周囲との軋轢や、人間の精神的暗部を描いた重いエピソードを中心にスポコンや恋愛など様々な人間模様を描く意欲作となっている。
また、東京がことあるごとに壊滅的な被害を受けるのは、チーフライターである上原正三氏が沖縄出身であることによるとかよらないとか。
シリーズ後半で主人公の恋人やその兄など身内同然のものが亡くなるという今までのシリーズになかったハードな展開を見せたが、所謂11月の傑作選と呼ばれる重厚なドラマとともに、結果としてシリーズの評価を高めることになった。
最終回は少し拍子抜けしたものとなってるが(敵との戦いね)、ウルトラ兄弟の設定や初代マンとのリンクなど後のシリーズにとって重要なフォーマットを完成させたという点意義深い。
オープニングはキラキラした万華鏡のようなバックに影絵の美しいもの。
ハープを使ったきらびやかなアレンジとともにかなり気に入っている。
団次郎の歌唱も独特の節回しで味わい深いものがある。
私見だが歌の最後のところがサザエさんの歌と似ているような気がする。
その他本作に使われるBGMは優れたものが多く、ワンダバを筆頭に戦闘ムードを高めるものが多い。
しかし、何と言ってもウルトラマン活躍のテーマをスローにして、マイナー調にしたメロディーが哀愁を誘って秀逸である。
同じメロディーでここまで雰囲気が違うものかと感心させられる。
なお本作は再放送世代である私の記憶に残る最初のウルトラシリーズということで個人的にも思い入れが強い。
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