セブントップへ戻る
勇気ある戦い
データ
脚本は佐々木守
監督は飯島敏宏
箱根山中で原因不明の濃霧が発生し、徐行中の自動車30台が消滅するという事件が起こった。
連絡を受け、原因調査に向かう警備隊員たち。
しかしダンはアンヌの友人の弟・治が入院している病院へ行って不在だった。
治は心臓欠損症の手術を控えていたが、怖いと言って手術を拒んでいた。
治がウルトラ警備隊のダンさんに会えれば手術を受けてもいいと言ったため、ダンは病院へ行ったのであった。
「事件の原因調査だ。我々だけで出かけよう」とキリヤマ。
隊員たちはダン抜きで調査に出かける。
その頃ダンは治の病院を訪れていた。
治の姉の杉崎ゆき子に案内され病室に入るダン。
治は心臓移植の患者が死亡したという新聞記事を見て、さらに怯えていた。
ダンに会えて笑顔になる治。
「来てくれたんだね。僕のために」。
「そうだよ」とダン。
しかし治の表情はすぐ曇る。
「意気地がないぞ治君。手術なんて眠っている間にすぐ済んでしまうさ」とダン。
「そうよ。それにスイスのユグレン博士は心臓手術じゃ世界一なのよ。心配する方がおかしいわ」とゆき子。
しかし、それを聞いた治は部屋から走って逃げだす。
治を追って庭に出たダンとゆき子。
「すいません。せっかく来ていただいたのに」とゆき子。
どうしても明日手術をしなければいけないのかと尋ねるダン。
それに対してゆき子は、ユグレン博士はシンガポールへ心臓手術に行く途中に立ち寄るため、手術が済み次第すぐ発たなければいけないと答える。
それを聞いたダンは泣きべそをかく治に話しかける。
「治君。ウルトラ警備隊のことは知ってるかい?我々は地球を脅かす宇宙人と戦っている。治君。ウルトラ警備隊がどうしてあんな素晴らしい戦いができるか、わかるかい?それはね、我々のすべてが人間の作った科学の力を信じているからだよ。小さなネジ一つ、メーター一つにも人間の作った最高の科学が生かされている。そう信じているからこそ、ウルトラ警備隊はあんなに勇敢に戦えるんだ。わかるね。信じるんだ、治君。人間の科学は人間を幸せにするためにあるんだと」。
「明日、僕の手術に立ち会ってくれる」と治。
「わかった。約束しよう。明日、治君の手術の前に僕はここへ来る」。
握手するダンと治。
その頃自動車が消滅した現場を調査していたキリヤマとアンヌは道路が大きく陥没している様子を確認する。
「まるで大男の足跡みたい」とアンヌ。
基地に戻った隊員たち。
「何者でしょう。その巨大なものというのは」とダン。
「わからん。何の手がかりもない」とキリヤマ。
「明日現れなければいいがな」とダン。
「明日どころか永久に現れて欲しくない」とキリヤマ。
心配したダンはアンヌにユグレン博士を空港まで迎えに行くよう頼む。
翌朝アンヌはゆき子とともにユグレン博士を車で迎えに行く。
挨拶を済ませ車に乗る3人。
しかし車は大渋滞に巻き込まれてしまう。
治の手術の時間がなくなると心配するゆき子。
その時渋滞中の車の上から深い霧が発生。
基地に連絡するアンヌ。
さらに大きな地響きとともに閃光が走る。
連絡を受けホーク1号で現場に到着した隊員たちも霧に視界を塞がれる。
「ようし霧を消そう」とキリヤマ。
ホークから噴出した紫煙により霧が晴れると、そこに巨大なロボットの姿が現れた。
分離して攻撃態勢に入るホーク1号。
ロボットはそんなことお構いなしに右手のハサミで車を掴んで胸の格納庫に次々と放り込む。
道路を破壊して進撃するロボット。
アンヌは車から降りウルトラガンで応戦するもロボットは堪えない。
とうとうアンヌたちの車が捕まってしまった。
それを見てダンとフルハシが乗るβ号に攻撃を中止するよう命令するキリヤマ。
頭部のパネルから光線を発射するロボット。
撃墜されて不時着するβ号。
気を失ったフルハシを見てダンは機外に出てセブンに変身する。
すんでのところでアンヌたちの乗った車を救出するセブン。
しかしロボットは脚をたたんで空へと飛び去ってしまった。
車は気を失ったアンヌを乗せたまま進んでいく。
走ってきたダンは車を止めアンヌを起こす。
博士を送るようアンヌに頼んで走り去るダン。
無事病院に到着する3人。
治の病室に入るアンヌとゆき子。
「ダンさんはね、今宇宙人のロボットと戦っているの」とアンヌ。
ダンが来なかったことで手術を拒否する治。
一方ロボットは空中に浮かぶ宇宙人の基地へと帰還していた。
基地を発見した隊員たちだがホークではついていけず逃げられてしまう。
基地に戻って撮影した写真を分析する隊員たち。
「これはバンダ星人の宇宙ステーションじゃないか」とダン。
「ダン。お前どうしてそんなことを?」とフルハシ。
(そうか。奴ら地球へ車を集めに来ていたのか。自分の星の物資を使い果たして他の星へやってくるなんて。まるで強盗みたいな奴らだ)。
基地内のラジオから流れてきた交通情報を聞いたダンは、星人はこれを聞いて車がたくさんある場所にロボットを派遣していたのではと推測する。
「なるほど。偽の交通ニュースを出してロボットをそこへ引き付けるわけか」とキリヤマ。
「そこに新型のスペリューム爆弾を積んだ車を終結させるんです」とダン。
爆弾を積んだロボットが宇宙ステーションに戻ってから、ステーションもろとも爆破するという作戦であった。
その時アンヌが病院から戻ってきた。
ダンがさん来てくれないと言って治は手術を受けようとしないと報告。
博士がシンガポールへ旅立つ時間が迫っていた。
キリヤマは敢えてダンを残して出動しようとするが、ダンは治のことをアンヌに頼んで皆と一緒に出動する。
爆弾を積んだ車の準備を完了する隊員たち。
本部に偽のニュースを流すよう指示するキリヤマ。
一方治はダンが来てくれないと言って手術から逃げようとする。
「僕はダンが来なきゃ嫌なんだ」と治。
その頃偽の渋滞現場にはロボットが現れ車を一台一台格納庫に放り込んでいた。
多くの車を収納したロボットはいったんステーションへと戻る。
それを支援戦闘機ウルトラガードで追跡する警備隊。
時計を気にするダン。
車がステーションに搬入されたタイミングで爆弾を爆破する警備隊。
ステーションは爆破墜落する。
しかしロボットは爆発に巻き込まれる前に離脱していた。
「治君。許してくれ」。
呟くダン。
その頃寝台に乗せられた治は「ダンの嘘つき」とうわ言を言いながら手術室へ運ばれていた。
街へ降り立ったロボットは狂ったように暴れる。
ウルトラガードからの攻撃も通用しない。
ダンとフルハシの乗った2号機はロボットの光線により墜落。
戦闘機から脱出した2人だったが、ダンはビルから落ちてくる瓦礫を受けて負傷した。
フルハシに支えられ治が手術を受ける病院に入るダン。
医者の制止を振り切ってダンはアンヌと一緒に治の手術室へ行く。
麻酔処置中の治に語りかけるダン。
「治君。待たせて済まなかった」とダン。
「必ず間に合います。お願いします」。
博士に訴えるダン。
一方ロボットは病院の方へ近づいていた。
「ダンさん。手当を受けてください」。
ダンの体を心配するゆき子。
「僕の傷のために来たと治君には思われたくないんです」とダン。
手当を促すゆき子とアンヌ。
そこへロボットの足音が近づいてきた。
入院患者を避難させる病院関係者たち。
しかし手術中の博士は逃げることができず、手術を継続する。
ダンは屋上へ行きセブンに変身。
セブンは病院へ向かって進撃するロボットを食い止めようとする。
しかし負傷しているため力が出ない。
アイスラッガーも力がなく跳ね返されてしまう。
警備隊は地上から応戦。
セブンはフルハシの持つエレクトロHガンに着目すると、自らの体をミクロ化して弾丸になる。
エレクトロガンの銃口に飛び込むセブン。
フルハシが弾を発射するとその勢いでセブンが飛び出した。
セブンは自らを弾丸としてロボットに体当たり。
ロボットは大破した。
痛みを堪えながら治の病室に向かうダン。
「治君は」とゆき子に尋ねるダン。
手術が無事成功して目を覚ます治。
その手を堅く握るダン。
治療を終えたダンは車椅子に乗り、ゆき子と隊員たちとともに野道を行く。
ゆき子と会話するダンを置いて先を歩く、ソガ、アンヌ、キリヤマ。
「我々は勝ったんだ。バンダ星人のロボットに。そして人間の愛と信頼との戦いにも」とキリヤマ。
アンヌが振り返るとにこやかに握手するゆき子とダンの姿が。
それを見てアンヌを冷やかすソガ。
アンヌは持っていたタンポポの綿を吹いて2人の方へ飛ばす。
街には夕陽を受けたロボットの残骸が横たわっていた。
解説(建前)
バンダ星人は何者か?
ダンの知るところによると、バンダ星人は自分の星の物資を使い果たしたとのことなので、同じような強奪行為を様々な星で行っているとも考えられる。
しかし、さすがにこんなやり方で資源不足が解決できるとも思えず、また大規模に強奪行為を行えばウルトラ兄弟はじめ多くの宇宙人を敵に回すことになるので、現実味はないであろう。
となると、やはりバンダ星人の一部の不届き者が狙いやすい地球をターゲットにして資源を強奪しにきたと考えるのが素直である。
ダンの言う通り強盗そのものではないか。
感想(本音)
セブンらしくない変な話。
いろいろ違和感はあるのだが飯島監督らしい娯楽性もあり、個人的にはまあまあ楽しめた。
まず気になったのは、治のお姉さんがえらく綺麗という点(いきなりそこかよw)。
なかなかオシャレなファッションは現代でも十分通用すると思う。
セブンは子供番組とは言えやはり人気番組なので、ゲストの女優のレベルが高い。
最後アンヌが2人にやきもちを焼く場面は脚本にはなく、現場レベルで追加したとのこと。
恐らく飯島監督がゲストの女優を気に入ってそういう場面を追加したのであろう。
一方のアンヌは完全に引き立て役かという髪型とファッション。
まあ、警備隊という勇ましい職種だから私服もあんなものかもしれないが、しかしさすがにゆき子と比べると野暮った過ぎる。
アンヌが本気出せばあんなもんじゃないんだよ、と(笑)。
とは言え、車から出て私服でクレージーゴンにウルトラガンを浴びせるシーンはなかなかカッコよかった。
そして、最後2人に焼きもちを焼くシーンはダンとアンヌの関係性を子供でもわかりやすく表現している。
セブン初参加の飯島監督だからこそ、いつもと違うアンヌを表現できたのであろう。
というところで本題に入るが、子供中心の作劇はやはりセブンというよりウルトラマンに近い。
この辺りは飯島監督の作風であろうが、次回の「セブン暗殺計画」を見ても、マニアックな作風になっていたセブンにもう少し娯楽要素を入れたいという狙いもあったのであろう。
肝心のストーリーであるが、「勇気ある戦い」というタイトル通りのストーリーになっていたのかは若干疑問が残る。
ダンはいつも通りだし、治は最後無理やり手術された感じで特別勇気を振り絞ったようには見えない。
傍から見て一番勇気ある戦いをしてたのは、次の手術を控えた時間的制約の下、怪獣が迫る病院で手術を成功させたユグレン博士ではないか?
ダンが人間の科学は素晴らしいと言ってたのも特にテーマと繋がることはなかったし、やっぱり飯島監督、佐々木守の組み合わせはイマイチなのかもしれない。
ウルトラセブンにおける佐々木脚本は欠番を除くと本話が唯一となる。
これ以後、暫くウルトラシリーズから離れ、次に参加するのがタロウの第33話「ウルトラの国大爆発5秒前」。
タロウは恐らく事前にプロットが決まっていたであろうから、純粋な佐々木脚本といえるのは本話が実質的に最後であろう。
佐々木氏と言えば、実相寺監督と組んだ一連の異色作。
「地上破壊工作」は比較的正統派な侵略ものであるが、怪獣が何もしない「恐怖の宇宙線」「空の贈り物」「怪獣墓場」、真珠や子供の血など特定のものを狙う「真珠貝防衛指令」「遊星より愛をこめて」、侵略ではなく復讐の「故郷は地球」とただ怪獣が出て暴れる、ただ宇宙人が侵略してくるというウルトラマンの基本フォーマットを外してくるのが特徴である。
そういう点では本話は自動車という特定のものを狙うパターンであろうか。
ただ本話については地球側が科学の素晴らしさを誇り、バンダ星人側は資源の無駄遣い、資源の大量消費を代表する存在かのように描かれている。
社会風刺が得意な佐々木氏にしては、勧善懲悪的な内容。
これはやっぱり組む監督によって作風も変わるということなのだろうか。
先に子供が出てくる作風はウルトラマンに近いと書いたが、話はそう単純ではない。
大人に反抗する子供というのは「恐怖の宇宙線」でも描かれていたが、治についてはむしろ第二期ウルトラに出てくる甘ったれた子供に近い。
しかもキリヤマはロボットが暴れているのにダンに治の病院へ行くよう促している。
キリヤマってそんなキャラだっけか?
このシーンはまるでTACの竜隊長みたいだった。
さすがにダンはその場では断ったが、最終的に自らの負傷で偶然病院へ行くという展開で帳尻を合わせている。
この辺りは二期ほど子供中心ではないが、セブンとしてはかなり異色な展開であろう。
しかも治はダンには気づいてなさそうだし、勇気ある戦いは一つもしていない。
ダンの戦いは勇気ある戦いといえるが、それはいつものことだし、このあたりの納得のできなさは本作の最大の問題であろう。
違和感という意味では一番のツッコミどころは、やはりダンがバンダ星人のステーションを知っていたことがスルーされたところであろう。
解説(建前)のところで適当に解釈しようとしたが、やっぱり難しいのでやめた(笑)。
正直このシーンを入れる必然性はそれほどなかったので、何でこういう正体がばれそうなシーンを入れたのかは謎だ。
これならむしろウルトラマンのイデ隊員のようにおちゃらけて誤魔化してくれた方がよかったくらい。
一瞬ツッコまれて、その後何事もなく進んでいくのは何とも気持ち悪い。
無理やり言い訳を考えるなら「バンダ星人というのは僕がイメージトレーニングするときに使う宇宙人の名前で、この宇宙ステーションが僕が想像してたものと同じだったので驚きました」てな感じか(無理すぎる笑)。
脚本なのか監督の指示なのかはわからないが、当の演者たちからツッコミが入らなかったのが不思議である。
まあ、それ以前にもダンの乗ってた宇宙船が爆破されたのに平気で生還したり、ダンがセブン若しくはセブンの友人くらいでないと説明できないシーンがしょっちゅうあったので、今更なのかもしれないが。
そもそもダンの入隊前の経歴はどうなっているのかとか、言い出したら切がないし(笑)。
セブンではよくあることだが、本話でバンダ星人は出てこない。
ダンがバンダ星人のことに言及したのは恐らくそのことが原因であろう。
姿も現さない、侵略目的も教えてくれない(笑)では、バンダ星人の名前が出てこないので。
ただ、そのことをダンが知っている必要はなかったし、ましてやそれを声に出す必要もなかった。
敵の行動から侵略目的は推測できるし、声に出さずとも心の中で思っていれば視聴者には伝わるので。
バンダ星人が出てこなかったのは、やっぱり予算の都合だろうか。
一方クレージーゴンはなかなか面白いデザイン。
デザイナーの池谷氏もお気に入りだそうだが、このデザインを発案したのは飯島監督とのこと。
ロボット怪獣は強いという法則もあり、見た目はお茶目なのだが、なかなかの強敵であった。
その他気になった点。
バンダ星人は交通情報を聞いてロボットを秘密裏に派遣していたが、いくら何でもあんなでかいロボットが車をさらっていたら目撃者はいるはず。
それほど田舎の道路だったのだろうか?
しかし、車を取られた人からの通報がなかった点を見ると、車に乗っていた人は車ごと(略)。
あわやアンヌも捕まるかと思ったところで都合よくフルハシが気絶するのはお約束であろう。
昔のダンならその前にフルハシのお腹を殴って変身したであろうが、ダンも大人になったものである。
ダンが負傷しているため、弱々しいセブン。
最終回のバンドン戦を思い出したが、次回は敗北するのでこの辺りも二期ウルトラ的。
それはまた次回。
最後は人間(宇宙人)砲弾となって見事クレージーゴンを粉砕。
しかし、あれってセブンの方も相当ダメージありそうだが。
同様にセブンがアンヌたちの車をキャッチしたシーンも相当ダメージあるはず。
まあ、その辺りはお約束なので。
汚れた隊員服のままで手術室に入るダン。
これも時代かな。
久々に書いたが、相変わらずとっ散らかった感想で申し訳ない。
まあ、書きたいことは最初に書いておいたので(笑)、後は適当に読んでおいてください。
本話は恐らくセブンファンにはあまり人気ないエピソードであろうし、二期ファンから見てもそれほどいい出来ではない。
とにかく治がむかつくしね。
ただ飯島監督の持ち味である楽観主義というか理想主義的な感性で、セブンの持つ重さはほとんど感じない。
そういう意味では割と気軽に見れるエピソードでなかろうか。
テーマについては少年の個人主義的なものなのか文明批判的なものなのか、正直消化不良気味ではあったが、二期につながる萌芽というものは感じさせた。
次回からの傑作前後編と併せて、セブンに新しい風を吹かせた点は評価したい。
セブン第37話
セブン全話リストへ
セブン第39話