太陽の命・エースの命


データ

脚本は上原正三。
監督は筧 正典。

ストーリー

ドラゴリー、メトロン星人に加えムルチまで出現。
しかしムルチはドラゴリーに頭突きをしてしまい、バラバラにされる。
南隊員の体力じゃ持たないかもしれないが、我慢してくれと北斗。
苦戦のエースはエースバリアを使うことを決め、2匹をバリアーに封じ込める。
しかしその結果夕子は重症となり、即座に入院する。
夕子はかなり心臓が弱っていた。
心配する北斗。
そんな悲しそうな目をしないでと夕子。
バリアは1日しか持たない、結果的に君を苦しめただけだと謝る北斗。
しかし夕子は、そうしなければエースが危なかった。
使命を果たせて本望と気丈に振舞う。
パトロールに出た北斗と吉村はバリアーに封じ込まれたメトロン星人 を発見する。
マヤの敵を撃つため、隊長の命令を無視して出撃し、爆撃する山中。
しかし結果的にメトロン星人を蘇らせてしまう。
メトロンの光線に炎上するアロー。
そのままメトロンは消えてしまう。
命令違反を責める隊長に星人を倒す絶好のチャンスだったと反論する山中。
しかし隊長は今我々の優先すべきはマリア2号の完成だと山中を叱責する。
反省する山中。
その時南危篤の報がTACに入る。
息も絶え絶えな南。
隊長は北斗に、病院に残って南を死地から呼び戻すよう命令する。
南は残った北斗に自分も連れて行って欲しいと懇願する。
医者の制止を振り切って南の願いをかなえる北斗。
その頃、接近したゴランにより月と地球の引力が狂い、異常気象が起きていた。
マリア2号の完成が漸く30分後に迫ったその時、超獣ドラゴリーが3たび現れる。
迎え撃つTAC。
漸くマリア2号が完成したその時、メトロン星人まで出現する。
戦闘に参加していた南だったが、衰弱のあまり気を失ってしまった。
北斗が南に呼びかける。
「夕子~」。
その時リングが光った。
這って近づく夕子に飛び込み変身する北斗。
何とかマリアの打ち上げは成功させたエースであったが、夕子が重病のため普段の半分の力しか発揮できない。
それでも力を振り絞ってウルトラギロチンでメトロンを倒す。
しかしエースはそこでエネルギーを使い果たしてしまった。
カラータイマーが停止して動きが止まるエース。
しかしその時、マリア2号がゴランを破壊した。
強烈に溢れる太陽エネルギーを受け復活するエース。
カラータイマーが青に戻ったエースはドラゴリーの腹をパンチでぶち抜き、最後はメタリウム光線で大爆発させる。
マヤの敵が討てて満足する山中。
戦い終わったTAC隊員たちの元に北斗だけが帰ってくる。
南の心配をする隊員たち。
しかし直後に元気な南が帰ってきた。
驚く隊員たち。
太陽の力で蘇ったと南。
すると竜は南を死の淵から呼び戻したのは北斗だと言う。
礼を言う夕子に照れる北斗。
生きていることの素晴らしさを噛み締めつつ、大きく深呼吸するTAC隊員たちであった。

解説(建前)

夕子が重病だと力の半分しか出せないという点からエースの1部は夕子が受け持っていることがわかる。
しかしエースの本体はあくまで北斗だから、夕子はあくまでエースのエネルギーを半分担当してるに過ぎないだろう。
つまり地球にいるエースはエネルギーが不足するので、普段は北斗と同化してエネルギーを蓄えているが、2人合体のために変身後は夕子の蓄えたエネルギーと半分ずつ使っているのではないか(つまり、北斗のエネルギー50%、夕子50%)。
1人変身になってもエースの力はあまり変わってないようなので(北斗のエネルギー100%)、変身の仕方により、エネルギーの使い方が異なると考えるべきであろう。
ちょっと説明が難しいが、今回は2人変身のマイナスがもろに出た感じだ。
以後のウルトラマンはこのパターンの変身をしていないことから、エースは実験的に2人変身を試したのかもしれない(北斗の性格を考えると、夕子の存在が精神的にプラスに作用した場面も多いだろう)。

エースがゴランの破壊とともに太陽エネルギーを吸収して復活するのは、今までそんなこと出来なかったのに不可解。
これはゴランが爆発した時放射したエネルギーか、ゴランの爆発が太陽エネルギーを増幅したかいずれかであろう。
ゴランの成分と太陽エネルギーが反応して、エースに必要なエネルギーが作られたとも考えられる。
少なくとも、太陽エネルギーだけで復活できるとすれば、今まで3分間しか戦えなかった設定が根本から崩れてしまう。
以後の回を見ても、そういう場面は見られないので今回はゴランが何か特別な役割を果たしたと見るのが妥当であろう。

感想(本音)

かなりご都合主義的なシナリオであるが(とっととウルトラギロチン使え!)、面白いので許そう。
今回まず注目はムルチ。
超獣の強さを演出するまさに噛ませ犬的な出演であった。
しかし体を引きちぎられた時、ご丁寧に血まで吹き出していたのには驚いた。
ちょっと生々しすぎるぞ。

地球のために命がけで戦う夕子。
こんな時、1人変身できれば…。
隊長が北斗を病院に残して南を助けてやれという場面。
やはり隊長は2人を恋人同士か何かと思っているようだ。
まさか2人がエースなどと知る由もないだろうので。
しかし原因不明の心臓病で倒れる夕子。
その時点でTACを首になっても不思議ではないのに、太陽は全ての命の源ですしねって、おめでたい連中である。

TACの謹慎は1日たりと続かない(山中は謹慎を喰らった訳ではないが)。
あれだけ人員が不足すると、そんなこと言ってられないのであろう。
マリア2号をメトロン光線で破壊しないメトロン星人。
あの光線ではマリア2号を破壊するだけの威力はないのだろうか。
光線を出す時の効果音はなかなかよかったが(ピヨッて奴)。
エースが最後、剣を取り出してドラゴリーを真っ二つにしたのはファンサービスか。
前後篇の特別版とはいえ、好き放題やっている。

今回のお話は、地球を守るため命がけで戦う夕子、そして2人の信頼関係を描いた中身の濃いエピソードでした。
あのまま夕子が死んでたら、それこそ最終回でもよかったほど。
そういう意味ではエース版史上最大の侵略とも言える内容でしたね。
ただしエースはまだまだ続くので、夕子があっさり復活するご都合主義的な内容になってしまいましたが。

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