東京大混乱!狂った信号


データ

脚本は石堂淑朗。
監督は深沢清澄。

ストーリー

街をパトロールする北斗、山中。
2人は交差点を青で進むが八百屋のトラックと衝突してしまう。
北斗らと八百屋の娘ゆきはお互い信号無視を主張するが、警察はTACを信じゆきの信号無視と決め付ける。
免許を取上げられると困るゆきは本当のことを言うように北斗らに頼むが2人は答えない。
怒ったゆきは落ちた野菜を積み直して店に戻る。
後をつける北斗、山中。
ゆきは安全運転をしており、信号無視するようには見えなかった。
店に帰ると2人の弟がゆきを出迎える。
北斗、山中は車を降りてゆきに話しかけるが、怒ったゆきに追い返される。
その時空に怪しい白雲が。
そしてパンサーに連絡が入る。
都内のあちこちで信号が狂い、事故が多発しているという。
現場に向かう2人。
その時空の白雲から怪しい声が聞こえてきた。
「レボール、レボール。東京都民に告ぐ。直ちに東京から立ち去れ。我々はレボール星人だ。レボール星の守護神シグナリオンを見よ。愚かにも抵抗する者があれば、シグナリオンはお前たちを踏み潰すであろう」。
TACは出動し、空の物体を攻撃。
しかし物体は白雲になり消えてしまう。
「我々の守護神に攻撃した以上どんな報いがあるかよく見ておくが良い」。
地上では赤信号から熱線が発せられ、被害者が続発する。
TACは声の発信源を調べるが、共鳴現象でわからない。
さらに青信号から青い光線が発せられ、人々の血液が上昇させられ体温が低下する。
最後には黄信号から黄色の光線が出され、人々は頭を狂わされた。
吉村は地下に廃道となった下水道があり、そこから電波が発せられてることを突き止める。
マンホールの蓋の上にはアスファルトが塗り固められカムフラージュされていた。
中に入る2人。
2人は地下道で怪しい男を発見し、後をつける。
すると怪しい機械のある部屋に辿りついた。
山中が男達をおびき出し、北斗がその隙に機械を破壊。
男達はレボール星人の姿を現し、2人は星人たちと格闘する。
2人はレボール星人を倒すも、レボール星人は「我々が死んでも戦いはこれからだ。今こそ秘密兵器を見せてやる。レボール、レボール」と言い残す。
地上に戻る2人。
ゆきの無実は証明され、2人はゆきに会いに行く。
その時また地震が起きた。
すると再び信号が狂いだし、空の飛行物体から超獣が出現した。
超獣は街を破壊し、山中は瓦礫を受け負傷する。
ビルの屋上から超獣の目を狙う北斗。
しかしビルごと破壊されエースに変身する。
シグナリオンの光線に苦戦するエース。
しかし最後はメタリウム光線を浴びせ超獣を消滅させた。
ゆきの所に行く2人。
警察も謝り一件落着。
ゆき姉弟とともに談笑する北斗らであった。

解説(建前)

シグナリオンは何者か。
これはレボール星人自ら秘密兵器と言ってるように、レボール星から持ち込んだ生物兵器だろう。
守護神というだけあってその光線の破壊力は凄まじいが、さすがにエースには勝つことが出来なかった。
レボール星人の死後に活動を始めたのは、事前に何らかのプログラムが仕込まれてたと考えるのが素直だろう。
レボール星人が事前に1つの信号機に機械を仕掛けていて、星人の死とともに機械が作動するようになっていたものと考えられる(若しくはタイマーか)。

レボール星人の目的は何か。
信号を狂わせて東京を侵略しようというのは上手い作戦だが、その後どうするのかはよくわからない。
地下に基地でも作るつもりだったのだろうか。
とりあえずあの星人たちは先兵隊でシグナリオンがいれば東京くらい楽に落とせると思ったのだろう。
しかしエースの存在を知らなかったのだろうか。
それとも侮っていたか。
結局シグナリオンが敗れたため、後の本隊は侵略を諦めたものと考えられる。

感想(本音)

何となく違和感のある話。
スケールがあるようでないような。
信号を狂わせたらどうなるかという社会派な話のせいもあるだろう。
と言っても内容は単純明快。
侵略宇宙人対TAC・エース。
普通に楽しめる仕上がりにはなっている。

今回監督はウルトラシリーズ初登板の深沢氏。
街での事故の描写、怪我人の描写が生々しい。
「ウルトラ38番目の弟」のshoryuさんの言うようにこういう描写は今までほとんどなかった。
してみると、レオのハードな世界は深沢氏の演出にもよっていたのだろう。
そう言えばレオの問題作、ツルク編やシルバーブルーメ編は深沢氏が監督だった。
深沢氏の参加はまたウルトラを違った方向に導いたのかもしれない。

セリフの後何故か「レボール、レボール」というレボール星人。
まあ今まで自分の名前を呼びながら襲ってくる敵もいたにはいたが(ダダとか)、この「レボール」はかなりインパクトが強い。
どういう意図だったのだろう。
しかしレボール星人自身は大したものではなかった。
北斗と山中にやられてしまう星人というのも珍しい。
最後に秘密兵器を言い残して死ぬも、前回のような悲壮な感じはなく、単なる腹いせ・復讐目的のようだ。
マンホールに細工するのは自ら「我々はここにいますよ」と白状するようなものだし、何を考えてるのかイマイチよくわからない連中だった。

今回気になったのは北斗がゆきのトラックに衝突したシーン。
「大丈夫ですか」と隣の山中を気遣うシーンにどこかで見たと思ったら、あのユニタングのシーンでした。
やはりあの時夕子を気遣ったのは別に特別な意図からではなかったのですね。
北斗は何も考えず、単に同乗する仲間を気遣ったに過ぎなかったのでしょう。
そういうのを拠り所に北斗を信じる夕子というのがあのシーンの肝だったのですがね。

後、今回のゆきのキャラはどことなくガマス編の純子のキャラを思い出しました。
出来ればあの時の今野のようにゆきと山中を仲良くさせて欲しかったのですが、テーマ的にずれがあるのでそれは無理だったようです。
個人的には婚約者を亡くした山中にフォローが欲しかったのですが、山中は一途なタイプだけにそう簡単には行かなかったのでしょうね。
まあ、男と女というエースのテーマは夕子降板で事実上消滅したから仕方ないんですが。

以下細かい点を少し。
北斗にビルの屋上から目を狙い撃ちするよう指示する山中。
いくらTACの任務が命懸けだといってもそれはあまりにも危険すぎるぞ。
案の定吹っ飛ばされてるし。
北斗がエースでなきゃ思いっきり殉職だっただろう。
青い光線が人の血液を蒸発させ、体温を下げることを即座に見破る北斗。
さすがエース。
いや、単なる御都合主義か。
山中の1姫2トラ3ダンプて何?
今回八百屋が昔懐かしの雰囲気で個人的にノスタルジーを感じました。

今回は車社会、文明社会を皮肉った内容。
信号を狂わされたらどれだけ混乱するか。
現代社会の問題に切れ込んだ意欲作とも言えよう。
ただし、実際あんなに派手に事故になるものだろうか。
もう少し情報が行き届くか誰かが気付くかして、あそこまではならないだろう。
その辺りややオーバーだった気もする。
しかし信号を狂わせて東京を乗っ取ろうとする発想は凄い。
こういうテーマを真正面から扱うのはウルトラ的には珍しいが、深沢氏の演出と相まって面白い仕上がりにはなっていた。
個人的にはちょっとテーマが出過ぎている感もあるが、出来自体は悪くないだろう。
ある意味エースの幅の広さを表す作品と言える。
ところで「狂った」は放送上問題ないのだろうか。

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