燃えろ!超獣地獄


データ

脚本は田口成光
監督は山際永三。


ストーリー

パトロールに出かけた南は山奥の橋の上に、黄色の帽子を被った少年を見かける。
手を振る少年に思わず手を振り返す南。
すると、突如空が割れ超獣が出現する。
超獣は橋を落とし、旅客機を破壊し空の割れ目に消えていった。
山中らに超獣が出たことを信じてもらえない南は、飛行中に手を振ったことが原因で1週間の謹慎を言い渡される。
一方、南の証言を信じた北斗は黄色の帽子の少年を探すことに。
偶々立ち寄った家は少年の祖父母宅で北斗はそこで酒を振舞われる。
断りきれず酒を飲んでると、そこに少年が現れ超獣など知らないと言う。
北斗の体を触っていた少年はいきなり北斗のTACガンを抜き取り北斗目掛けて発砲。
辛くも避けた北斗は少年を追うが見失う。
アローで本部へ向かう北斗。
そこへまたしても空が割れ超獣が出現。
超獣はすぐ消えるが、北斗はアローの燃料が切れて緊急着陸する。
隊長に酒を飲んでいたことが知られ、謹慎を命じられる北斗だが、アローの燃料を抜いたのが少年であることに気付き、少年を探しに出る。
一方隊長らは調査のためファルコンで駆けつけるが、そこで村人の死体を発見。
その時少年が祖父母の前に姿を現し、正体が超獣であることを名乗り、祖父母を光線状のロケットで殺害する。
一方ファルコンは炎に包まれるが、北斗が辛くもアローを脱出させる。
北斗の指摘により少年を追うTAC隊員であったが、追い詰められた少年は超獣バキシムに変身。
空を割ってがら空きとなったTAC基地へ向かう。
TAC基地に現れたバキシムに対して梶の新兵器で対抗する美川隊員たち。
一方夕子は美川隊員の判断により謹慎を解かれ、アローで空から攻撃する。
そこへ北斗のアローも駆けつける。
炎上する夕子のアロー。
その時2人のリングが光った。
脱出して変身する2人。
変身したAはバキシムを圧倒。
火炎放射をバリヤーで防ぎ、とどめのウルトラスラッシュでバキシムの首を切断する。
実は少年は事件前に家族とともに原因不明の交通事故で亡くなっていた。
最初からTAC基地を攻撃するヤプールの作戦だったのだ。
勝利した北斗と南は晴れやかな気持ちでパトロールへ出かけて行った。

解説(建前)

今回は初期の傑作で見所も多い。
夕子が初の謹慎。
これは飛行中子供に手を振ったので当然であろう。

この村は所謂過疎で人は都会へ流出するばかりであった。
そこへ少年を送り込むヤプール。
抜け目ない。
少年が最初、異次元人ヤプールと名乗ったのにその後、私はバキシムと言ったのはヤプールが親切心で超獣の名前も教えたのであろう。
いずれにせよ、バキシムの口を通してヤプールが喋ってたものと思われる。

空が割れたことを信用しない山中。
彼も入隊してまだ2匹の超獣としか戦っておらず、ヤプールの恐ろしさがわかっていないのであろう。
TAC本部は流石に砲台の類が一杯あった。
その辺り警戒は厳重だ。
ただし、人手不足は否めないが。

美川隊員は時限装置を持ち歩いているが、その時限装置は他の爆弾に簡単に取り付けられるほど良く出来たものだ。
美川隊員は爆弾に関してはかなりのスペシャリストと見受けられる。
被弾してないアローから脱出して変身した北斗だが、みな戦闘で被弾したか否かまでは一々わからないのであろう。
ウルトラタッチも同様。
ただし、毎回派手に変身してる所を見ると一般人の目には見えない特殊な光でも出てるのかもしれない。

エースがバキシムの首を落とした技は良くわからないが、ウルトラギロチンではなさそうだ(6話参照)。
ウルトラスラッシュ辺りではなかろうか。
今回はエースも強く、だいぶ北斗との一体化が進んでいるようだ。

感想(本音)

バキシムはその造型から人気超獣だが、空を割って出てくるその姿はこれぞ超獣である。
しかし、バキシム自体はエースに出てくる超獣でもかなり弱い部類に入ると思う。
空を割る特撮は今見てもかっこいい。
昔の特撮と侮っていたが合成といい光学処理といい円谷プロ、さすがである。

夕子が北斗と連絡していた時、無線を切った北斗に
「星司さん星司さん」。
いくら仲がいいからといって、勤務中にそれはまずいんじゃないのか。

ヤプールが少年を通して言ったセリフ。
「子供が純真だと思ってるのは人間だけだ」。
なかなか強烈なセリフだ。
また、バキシムは容赦なく村人や祖父母を殺しまくる。
う~ん、とても子供向けとは思えない。

TACが少年を追いかけるシーンで何故かフォークのBGM。
時代を感じさせるがこれが妙に物悲しくていい。
いかにも70年代という感じだ。
そう言えば浅間山荘もこの年だったっけ。
しかし、村を部落と言ってたが、これって放送上問題ないのだろうか。
如何にもって村だったし。

またこの作品はさり気なく過疎の問題も取り上げている。
人が出て行くばかりの村に帰って来てくれた孫をかわいがる祖父母は不憫だ。
しかも息子夫婦はその前にヤプールによって殺されていた。
TACをおびき寄せるためとはいえ手が込んだものである。
まあ、ヤプールの目的自体、よくわからないのだが(何のための地球征服なのか)。

少年に手を振るため超低空飛行をする夕子。
とても危険である。
案の定、山にぶつかりそうになっていた。

今回のエピソードは子供の暗黒面や過疎問題などかなり重い内容となっている。
この辺りやや新マンに通ずる所があるかもしれない。
何と言っても今回は少年の演技が秀逸ではまり役であった。

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