見よ!真夜中の大変身


データ

脚本は真船禎、平野一夫。
監督は真船禎。

ストーリー

子供達の顔。
小学校の教室で作文を読む健太。
健太の父は航海士で現在航海中。
その父から手紙が届き、その中には妊娠してる母の安産のお守りとしてガラスの破片が入っていた。
その頃海では怪しい老人が波間に漂っていた。
マザロン人は生きていたのだ。
「その時は来た。今に見ていろ」。
地球の各地で赤い雨が降り注ぐ。
健太は家に帰った母に父からもらったガラスの破片を渡す。
しかしこの破片はどこかで見覚えがある。
「何かが起こりそう。いやきっと何かが起きる」。
その頃基地では地球各地に降り注いだ赤い雨について話し合われていた。
北斗、南はヤプールの言葉を思い出す。
「必ずや怨念となって復讐せん」。
健太は夜ふと目が覚めて母を探すが鏡台のガラスの破片を見つけたところで気を失ってしまう。
朝母に起こされる健太だが、母がいなくなったことに不安を覚えて夜一緒に寝て欲しいと頼む。
夜布団に入った健太は着替え中の母の背中に赤いあざがあることに気付く。
眠りに入った健太は夢を見た。
健太は1人でどこかを歩いている。
すると前に母が歩いてるのを見つけた。
後をつける健太。
母はそれに気付いてこちらを振り向く。
驚く健太。
母の顔は醜い老婆の顔になっていたのだ。
追いかけられる健太。
健太はうなされて目を覚ます。
しかし一緒に寝ていたはずの母はいない。
健太は外に出て母を捜す。
歩いている母を見つけた健太はその後をつけた。
母はろうそくが無数に立てられた公園に入り、何かのお告げを聞いている。
それはマザロン人の声で超獣の子を生むように命じられていたのだ。
「お前の子だ」。
公園の向こう側に超獣マザリュースの姿が映し出される。
「何て素敵な目でしょう」。
うっとりする母。
たまらず健太は母を呼ぶがその顔は夢に見た老婆そのものだった。
逃げ出す健太。
するとパトロール中の北斗、南に偶然出会わせる。
基地に帰った北斗は少年の見たことを報告するが、にわかには信じてもらえない。
結局北斗は健太の家で健太と一緒に寝ることになる。
寝ている北斗は何かの光を感じ目を覚ました。
家を捜索する北斗。
しかし健太の母の姿が見あたらない。
2人は公園へ向かう。
すると公園にはこの前と同じように母がいた。
「大地は母なり。母は創造主なり。出でよわが子よ」。
母は祈り、老婆に変身する。
祈りはますます激しくなり、駆けつけたTACの目の前に超獣が現れた。
超獣と交戦するTAC。
北斗は超獣を操る老婆を撃とうとするが、健太に止められる。
健太は踊り狂う老婆に向かってガラスの破片を投げつけた。
破片は顔面に当たり母は正気を取り戻す。
「あの超獣は虚像だ」
と山中。
その時本部の美川から連絡が入った。
富士山が爆発したというのだ。
北斗、南は母がつぶやいた「赤くて熱い」という言葉から敵は富士山に潜んでいると直感する。
その時2人のリングが光ってエースに変身。
エースは富士の火口へと突入する。
火口にはヤプールの最後の刺客マザロン人がいた。
火口から外へ移り戦うエース。
最後はフラッシュハンド、メタリウム光線で見事マザロン人を撃破。
海にいたマザロン人の老人も泡となって消えてしまう。
海岸で北斗、南は健太の父の船を一緒に見ていた。
船に向かって走り出す健太。
3人の顔には笑顔があった。

解説(建前)

マザロン人が倒されると海の老人も消滅した。
これは何を意味するのか。
非常に難解であるが、老人がマザロン人に操られていた幻影か何かとでも解釈するしかないであろう。
老人とマザロン人は別人で偶々寿命が来て消滅したとも解釈出来るが、これはいささか無理がある。
疑問はあれど前記の説に従うことにする。

健太が母に破片を投げつけると母は正気に戻った。
これは破片に何か意味があったのか、それとも物が当たった衝撃で母が正気に帰ったのか。
おそらく破片はヤプールの怨念がこもっており、母はその怨念によって老女になったと思われる。
とすると投げつけた衝撃で母が正気に戻ると同時に、破片の怨念も退散してしまったのではなかろうか。
所詮破片。
一度その効力がなくなると、後はただの破片でしかないのであろう。

マザリュースは一体何者か。
マザリュースは山中の言うように虚像であり、攻撃しても通用しない。
あれはおそらくマザロン人及びヤプール破片が作り出した虚像であり実体はない。
カウラのように最終的には母に乗り移ることにより実体化したのではなかろうか。
いやむしろ話の内容からは生まれてくる子供に憑依して超獣として実体化すると考えるべきではないか。
ヤプール死後の超獣の謎も含めて難解な問題である。

今回エースは夜であるのにかなり長いこと戦っていた。
これはおそらく太陽エネルギーは昼夜関係なく戦闘中はほとんど補充できず、普段人間体の時に蓄えたエネルギーで戦ってるということではないか。
したがって太陽エネルギーを補充するためには地球から出る必要がある。
ただ、地下のマグマの近くにいれば、例外的にエネルギーを補充できるのかもしれない。
あくまで推測だが、それはまた今度検討する。

感想(本音)

正直あまり好きな話ではなかったのだが、今見ても何が言いたいのかよくわからない。
子供の頃理解できなかったのも仕方ないであろう。
要はヤプールが人の中に潜む思念を利用して超獣を生み出すということか。
この辺り超獣の超獣たる所以である。

脚本はさておき、撮影は随所にハンディカメラで回りながら撮った映像が使われていて真船流全開。
また母がいきなりよくわからない踊りを始めるなど、相変わらずシュールな演出が光っている。
あの辺は完全に趣味に走ってるのであろう。
妙に赤い画面といい、前回同様何とも不気味なムードが漂う作品に仕上がっている。
ただ、最後の意味ありげな演出は何を言いたいのか理解不能である。

今回のストーリーは全体的に17話の雰囲気に似ている。
あの話も少女の怨念が鬼女を呼び(少女が鬼女に変身し)、場面も夜のシーンが多かった。
17話も真船監督だけに、それを参考に今回の話を作った可能性もあるかもしれない。

今回は北斗、夕子とも完全に脇役。
都合よく少年に出会ったりするが、目立った活躍はない。
気になるシーンも基地内で画面が暗くなって2人がヤプールの言葉を回想するシーンと、変身時の仲良しタッチだけ。
ここまで目立たないのもある意味珍しいと思う。
考えてみれば私はカウラの回もあまり好きではない。
やっぱり主役が出ないのは寂しいものである。

少年が母親の胸に顔を埋めるシーンはちょっと羨ましいぞ。
少年は小学3,4年くらいに見えるので、流石に母親に甘えるシーンは恥ずかしいのではないか。
もちろん演技なのだが、彼は放送翌日学校でからかわれてる可能性が高いと思う。

エースがマザロン人に片エビ固めを決められるのもなんだかなあ。
マザロン人が光線を至近距離から外してエースの前の岩を爆破したシーンは間抜けだった。
それくらい当てろよ。

今回で遂にヤプール篇は一応完結。
次回からは新たな敵が次々と現れます。
しかし夕子降板はあと僅か。
ヤプール完結と相俟って何ともテンションが下がるのが残念ですね。

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