青春の星・ふたりの星


データ

脚本は田口成光。
監督は筧正典。

ストーリー

駿河湾上空をパトロール飛行していた北斗は北極星の付近に船が飛んでいるのを目撃。
即座にTAC基地へ連絡するが、レーダーには何も映っていなかった。
しかし船はそのまま飛行を続け、最後は海に着水する。
基地へ帰った北斗はその旨報告するが、梶に蜃気楼じゃないかと言われ、隊長も北斗の健康状態を心配して休暇を与えることにする。
休暇を利用してマリーナへ来ていた北斗は海上に見覚えのある船を発見。
甲板に掲げてある旗を見て、空中に浮いていた船と同一だと確信する。
そこへ篠田という青年が現れ、北斗はこの青年と知り合いになった。
篠田の話によると船は3年前最後の航海を終え、今はホテルとして係留されてるという。
夜不吉な予感を感じた北斗は船内を探索。
操舵室で航海日誌を発見し、最後の航海である3年前を思い起こし自分のTACでの3年間と重ね合わせる。
その時窓の外を見た北斗は船が宙に浮かんでることに気付き、篠田を呼び出し外へ。
しかし船は海に浮かんだままだった。
翌日、ボートで船の周りを調べる北斗は船の喫水線に焼け跡を見つける。
それは高速で空を飛んだ証拠であった。
しかしそのことを信じない篠田はいきなり北斗に殴りかかる。
一方計画を悟られたヤプールは雷を放ち旗を海に落とす。
それを見た篠田は海に飛び込んだ。
その時超獣ゼミストラー出現。
旗はゼミストラーの炎により焼失した。
連絡を聞いたTACはすぐさま出撃。
北斗の指示により超獣を海に追い落とそうとする。
それを聞いて激怒する篠田。
言うことを聞かない篠田に平手打ちする北斗だが、それでも篠田は言うことを聞かず船を守るため船に戻った。
それを追って船に戻る北斗。
篠田は船の鎖をダイナマイトで爆破して船を動かそうとするが、最後の鎖は爆発が弱く切断できなかった。
必死でのこぎりで鎖を切ろうとする篠田。
その時超獣は念力で船を宙に浮かせた。
それを見た南は北斗を助けるためアローで必死に超獣を攻撃。
しかし近づきすぎたため、超獣の炎により海へ墜落する。
それを見た北斗は南を助けるため海へ。
水中で変身したエースが超獣と戦ってる間に篠田は鎖を切断し船を動かした。
苦戦しつつもエースは最後はメタリウム光線で超獣を爆破。
船を動かした篠田は自分で待ってても何も変わらないと大学に戻る決心をする。
それを聞いた北斗は篠田とがっちりと握手。
熱い友情を交わす2人。
篠田の新たな旅立ちを見送る北斗と夕子であった。

解説(建前)

まずヤプールの計画が謎。
船を宙に浮かせるのに何のメリットがあるのか。
おまけにレーダーにも映らない。
しかもそのことを北斗に気付かれたら超獣を出現させるなど支離滅裂。
完全に我々人類の理解を超えている。
しかし、そうは言ってもヤプールも何か考えて行動しているはず。
とにかく1つ1つ見ていくしかないであろう。

まず船を持ち上げていた点、超獣の念動力の訓練でもしていたと考えられる。
そしてレーダーに映らなかったのは船の周りに妨害電波でも出してレーダーの邪魔をしたか、もしくは例の如く異次元空間を飛んでいたためレーダーに映らなかったかそのどちらかだろう。
北斗だけ空に飛んでいることがわかった点から、船内の人は空を飛んでることを実感できず、異次元空間にいたと考えるのが素直な解釈ではないか。
いずれにせよ船が浮いてることに気付いた北斗はさすがウルトラマンである。
ただし、あの場面に限っては北斗がワインか何かで酔っ払ってたという解釈も不可能ではないだろう。

超獣を出現させたのは超獣を近くに隠していたためその辺りを調べられてはまずいと思い、先制攻撃に出たからではないか。
結局北斗により作戦が中途半端に終わり最悪の形になってしまったのだろう。
しかし、最近のヤプールの迷走ぶりは酷い。

感想(本音)

強引な脚本である。
ほとんど理解不能。
子供の頃見てよくわからなかったイメージがあるが、大人になって見ても相変わらずよくわからない。
個人的にはあまり好きではない話である。

まず今回の見所は何と言ってもウルトラマンタロウこと篠田三郎。
2人の握手シーンは何とも感慨深いものがある。
また今回の北斗はエース中盤を思わせなかなか2枚目。
ただしあの海パンは目のやりどころに困った。
こういう時こそ夕子と一緒に行動して欲しかったが(おいおい)。
北斗のセリフから北斗はTACに入隊して3年だというのがわかる。
とすると夕子とは3年も進展がないことになり、普通3年も進展がなければもはや恋愛には発展し辛いのだが、まあこの2人は特殊なので何とも言えないであろう。

「俺もこの船と同じように鎖に繋がれているのだろうか。」
実際そうなんだけどそれがヒーローの宿命だしね。
夕子に繋がれてしまっってるのはいいのか悪いのか。
まあ、死人(おそらく)なので仕方ないんだけどね。
篠田が大学を逃げ出したのは当時の学生運動に嫌気が差したから。
この辺り世相を反映してるけど、んなこと子供にわかるわけないだろ。
熱血ドラマよろしく北斗が篠田をビンタするシーンあり。
ゴルゴダの回といい、田口さんはこういうノリが好きなのだろうか。

前半はほとんど出番のない夕子だが、後半は北斗を助けるため少しだけ活躍。
基本的に田口脚本ではぞんざいに扱われている夕子だが、今回はまだマシな方だった。
北斗に休暇を勧め、北斗がそれを了承した時の笑顔が印象的。
夕子も北斗が疲れすぎで蜃気楼を見たと思ったのだろうか。
それとも単に体の心配をしただけなのか。
やたら自分の名前の説明をする北斗星司。
さらに船の元の名前も北極星で、船が飛んでいたのも北極星付近。
これは単なる偶然である。

個人的にお気に入りの梶だが今回は船が浮いている原因を、美川隊員同様蜃気楼と推測する失策を犯す。
また超獣が出現すると留守番を任命されるなど今回は不甲斐なさばかり目立った。
徐々にその存在意義がなくなっていくのが感じられ寂しい限りである(まあ、23話では凄いものを発明してくれるが)。

今回の話はストーリーの不自然さが目立ち、ヤプールも存在意義が感じられないのでエースの曲がり角を象徴的に示した回と言えるかも知れない。
夕子とヤプール。
この両方と相性が悪い田口さんがメインになるからには今後の展開は仕方なかったのだろう。
と言いつつ、ヤプール壊滅後もヤプール存在時と変わらない脚本を書いていたのもこの人のような気がするが。
上原脚本もあと1本。
市川さんもしばらく遠ざかるので、もう初期の雰囲気はなくなりつつある20話でした。

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